122話 ページ25
…
大毅「……あ、」
いつものように場所取り組と買い物組に分かれる。
花火まであと1時間。
大人数の私たちはいつも取る場所が決まっているから
早めに行かな、って照史や崇兄たちが先に走って行ってくれた。
残りのメンバーで人でごった返している屋台をうろうろ、何買う〜なんて相談していた時
前を歩く大毅が突然立ち止まった。
視線の先を辿ると、
「っ…、」
そこには愛美ちゃんの姿。
同じ学年の女の子たち何人かと楽しそうにしている。
パステルカラーのかわいらしい浴衣に
ヘアアレンジも凝っていて
歩く度に髪飾りがキラキラ光っている。
…なんで、
なんで立ち止まるの、大毅。
愛美ちゃんのことはもうどうでもいいはずなのに
いつもみたいに絡まれるのが嫌なら
無視、すればいいのに
愛美「あっ！」
ほら、
愛美「大毅先輩っ」
嬉しそうに駆け寄ってくる彼女に
いつものように苦笑い。
愛美「聖菜から今日来るって聞いてたから、会えへんかなって思ってました！」
大毅「あー、」
気まずそうに
首の後ろをポリポリ。
望「大毅ーーー！飲みもんなんにすんねんってーーー！」
少し遠くの方から望がイライラしながら叫んでいる。
あ、みんな
飲み物買いに行ったんだ。
愛美「先輩浴衣なの聞いてないですっ！めちゃくちゃ似合ってます！」
かわいらしく頬を染めて
恥ずかしそうに俯く愛美ちゃん。
大毅「…ありがとぉ、」
愛美「誰と来てるんですか？」
大毅「あー、と、いつものメンバー」
愛美「聖菜、いないんですか？」
大毅「え〜と今は場所取りしてて」
愛美「あっ、じゃああとで会いに行っても…」
「大毅っ！」
いてもたってもいられず、大毅の浴衣の裾をくいっと引っ張る。
大毅「え、…」
私の存在に気づいた愛美ちゃんが
今までで一番怖い顔をして私を睨んだ。
「…望が、早くしろって」
ほら、って望たちがいる方に顔を向けると
大毅「あ、」
既に人数分の飲み物を買い終わったみんなが、あの2人どこ？なんて周りをキョロキョロしている。
大毅「ごめん、もう行くわ」
素っ気なく言い放った大毅に肩を落とす愛美ちゃん。
素早く人波をかき分けて行こうとする大毅に慌てて付いて行こうとすると
大毅「…はぐれたあかんで。」
一瞬、振り返って言ったその言葉に
胸のドキドキがおさまらない。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 839人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
