114話 ページ17
…
次の日。
今日も偶然大毅に会えたらええな、なんて思いながらマンションを出ると
大毅「あ、来た。」
そこには大毅と
智洋「…おはよ」
智洋の姿があった。
……え？
もしかして私のこと待っててくれてた…？
頭が追いつかない私を置いて
2人はさっさと歩き出してしまう。
待って！
どういうこと？
聞きたいのに
何年も大毅に話しかけることを躊躇っていた私は
簡単に声をかけることができない。
…だめだ、私
大毅に嫌われたくなさすぎて
声をかけることもできないなんて。
何も言わず、静かに2人の後を追う私に
智洋がちらちらと心配そうに目配せする。
やっぱり優しいなぁ、智洋…。
早く元に戻りたいよ。
どうしたら私とまた普通に話してくれる？
私が謝ればいいのかな。
…そんなことしたらきっと
もっと智洋のこと傷つけちゃうね。
大毅「今度から、9時半にマンション前集合な。」
前を歩く大毅が唐突にそんなこと言うから
一瞬自分に言われていると気がつかなかった。
大毅「…聞いとる？A」
え、今、私に言ってたの…！？
「う、うんっ…！」
それって……
毎日私と一緒に行ってくれる、ってこと？
大毅「さっき偶然智洋とマンションの前で会ってさ。せっかくやしAのことも待つか、ってなってん。せやから明日から9時半に集合して3人で行こうや。」
大毅の表情は後ろからじゃ見えないけど
何となく、笑っているように感じて。
嬉しい……。
何年も大毅に冷たくされていたのが嘘のよう。
一緒に登校してくれるなんて
こんな風に普通に話しかけてくれるなんて
隣の席に、自ら座ってくれるなんて。
一体彼にどんな心境の変化があったのかはわからないけど
もうなんだっていい。
こうやって、普通でいられることが
1番幸せなんだ…。
「幸せ…………」
ふと、口から出てしまった小さな呟きを
智洋が聞きとって、顔を歪ませて、胸を苦しめていたなんて
この時の私は気づきもしなくて。
それから毎日2人と学校へ行き
補習が終わると部活がある2人とお別れして家へ帰る。
そんな毎日が続き、気づけば補習期間である1週間なんてあっという間に過ぎていった。
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
