112話 ページ15
…
英語の補習は2クラスで行うらしくて
私たちは偶然にも自分たちのクラスで受けることになった。
教室にはもう何人か来ていて。
人数も少ないので、それぞれ好きな席に座っていた。
あーあ、知り合い少ないなぁ。
どこに座ろう……
男「しげ！お前も補習やったん？」
大毅「おー、お前も？」
女「しげここ空いてんで！」
大毅は相変わらず人気者で。
すぐに私の知らない男の子や女の子たちに囲まれてしまった。
窓側や後ろの席はもう埋まってしまっていたので、仕方なく廊下側の1番前の席に着く。
…ここ、そういえば由紀の席だ。
いつもこんな前で授業受けてるんだなぁ、なんてどうでもいいことを考えていたら
ガタッ、と隣の席に誰かが腰を下ろした。
「………大毅？」
ぽかん、とする私に対し
大毅「自分のクラスやし…自分の席がええやん？」
って、ちょっと困り顔。
…そりゃ、そうだよね。
せっかく自分のクラスなんだし
普通自分の席に座るよね。
でも、てっきりさっきの子たちの所に行くと思ってたから……
不意打ちすぎて、びっくりした。
私がいるから、じゃないことなんてわかってるのに
隣に来てくれて嬉しい。
…大毅の隣で授業受けれるんだ。
今まで何度も由紀を羨ましがったけど
私、今、大毅の隣に座ってるんだ。
うわ〜、ほんとに大毅が赤点取ってくれてよかった。
こんな奇跡みたいなことが次々起こるなんて。
こんな毎日が1週間も続くなんて…
私、生きてられる？大丈夫？
課題として配られたプリントを解く最中
彼の横顔をちらちらと盗み見る私の視線に気づいて
一瞬だけ、視線が合わさった。
クスって、ちょっと可笑しそうに笑って
またプリントに目を落とす。
……夢、みたいだ。
いつも後ろの席から眺めていた光景が
今目の前にあるんだ。
私の視線になんか気づかず、由紀のことしか見てなかったのに
今は、私の視線に気づいてくれた。
目を合わせてくれた。
笑ってくれた………。
幸せすぎて、もう訳が分からなくなって
英語のプリントはめちゃくちゃな答えで埋め尽くされた。
先生「今日はプリント提出したら帰ってええぞ〜。家でちゃんと復習してくるんやで」
先生に言われ、みんな次々と教室を出て行く。
隣の大毅が立ち上がったところで
私もようやくプリントを提出しに行った。
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
