109話 ページ12
…
「ごめん、服汚れたやんな…」
智洋「いや、大丈夫やって！Aこそ…」
「私は全然平気やけど…」
何ともぎこちない会話を交わしながらリビングに戻ると、聖菜ちゃんがむっとした表情をしたのがわかった。
慌ててジュースを溢してしまった彼の服を拭こうと伸ばしていた手を引っ込める。
淳太「なに？ジュース溢したん？」
智洋「ごめん淳太。一応床は拭いたんやけど…」
淳太「そんなん全然ええけど…2人は平気？」
淳太がズボン貸そか？なんて立ち上がるけど、それを必死に止める智洋。
でも、…と申し訳なさそうにしている私に
平気やから、な？と微笑みかける。
…………あ、久しぶりに目が合った。
相変わらずその瞳は優しくて
私のせいなのに笑って許してくれようとしてる。
そのまましばらく目が合ったままだったけど
ともくん！と聖菜ちゃんに呼ばれ、智洋の方から目を逸らした。
それが、寂しい、なんて
思っている自分がいて。
崇裕「ほら、Aも座って食べや。」
崇兄に言われ、我に返って淳太の隣に座った。
夏希「にしてもさ〜、みんなで勉強会なんて何年ぶり？めっちゃ久々やんなぁ！」
たしかに、中学の時とかはよくみんなで勉強会してたっけ。
高校生になってからはこうやってみんなで勉強するのなんて初めてかも。
照史「今年は俺らも受験生やし、ほんまに頑張らなあかんな」
崇裕「あ〜〜〜、早く終わらんかなぁテスト。夏休みが待ち遠しい〜〜！」
淳太「何言うてん、俺らに夏休みなんかないで。」
そんな淳太の言葉に肩を落とす崇兄。
真面目な淳太らしいなぁ。
まぁほとんどの受験生が淳太と同じ考えなんだろうけど。
夏希「えぇ〜、けどさあ、息抜きも大切やんな？」
照史「せやで淳太くん！せっかくの高校最後の夏休みやねんから、ちょっとくらい遊ばんと！」
崇裕「そうやんな！最後の思い出づくりやんな！」
そう言って盛り上がる3人に、ほんまに大学受かる気あるんか、とため息をつく淳太。
期末テストが終わったら、待ちに待った夏休み。
今年もいつもみたいにみんなと……いや、大毅と
色んなところへ遊びに行って思い出を作れる。
そう、思っていたのに。
…
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作者名：ホワイトモカ | 作成日時：2023年11月4日 3時
