この恋、難攻不落につき。3 (ページ1)

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98話ページ1

…

淳太「A、起きて！！」

「んぅ……。」

朝。

どうやら2人して寝坊してしまったようだ。

寝癖をつけたまま慌てて部屋に入ってきた淳太を見て悟った。

昨日夜更かしし過ぎたな…

とりあえず顔を洗って着替えて、最低限の身だしなみだけ整えて大慌てで家を出た。

試合会場はここから電車で30分くらいのところにあるらしい。

他のみんなはもう先に着いてるみたい。

夏希「あっ、A！淳太！こっちこっち！」

会場に着くと、もうすでに着いていた夏希ちゃんが私たちに気づいて手招きした。

夏希「も～～、こんな日に寝坊って何してんねん！笑」

淳太「ほんまごめん…いや～間に合わんかと思ったわ。」

走って来たから、息切れして座り込む淳太。

そんな彼に凛ちゃんが気を利かせて水を差し出す。

崇裕「俺らも焦ったで！あの2人午前の試合見れないんちゃうかって。笑」

凛「淳太も寝坊なんて珍しいやん。昨日何してたん？」

疲れ果てて水をがぶ飲みする淳太にかわって、私が答える。

「お弁当作ってたらいつのまにか夜中やってん。…あ～、ほんまに間に合ってよかった。」

試合はまだ始まってないみたい。

ほんとギリギリだったな…。

始まる前に照史や大毅たちに一言声かけたかったけど、もう無理か。

崇兄たちが最前列を取ってくれてたので、試合は見やすそうだ。

崇兄の隣に座ると、反対側に流星と知宙の姿が見えた。

言葉は交わしてないけど、何だか2人だけの空気って感じでぼーっとグラウンドを見つめている。

そのまた隣には愛美ちゃんの姿。

同じ1年生だろう女の子数人と見に来ていた。

…まぁ、サッカー部って顔面偏差値高いって有名だしファン多いもんね。

後ろの方にも同じ高校の女の子たちがちらほら見えて。

それだけ、サッカー部の人気がすごいってことだ。

もうすぐ、試合が始まるって時

由紀「うあぁ…緊張してきた～～」

私の隣に座っていた由紀が祈るように両手を合わせてソワソワしだした。

そりゃ、好きな人の大事な試合だもん。

緊張するよね。

…私も

さっきから心臓がドクドクうるさい。

何だか始まるのが怖くなって

ぎゅっと目を瞑った瞬間

試合開始のホイッスルが鳴った。

…