続！“個性”「文豪ストレイドッグス」 (ページ23)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:93,781 hit

六十話ページ23

次の日。

「やっほー、緑谷くん、轟くん、飯田くん！随分と無茶をしたみたいだね！」

悠花は笑顔で病室の扉を開けた。
腕には見舞いの花束を抱えている。

「朝霧さん！」

「どうせ規則違反したんでしょー？まあ、こってり怒られた後だろうから、私は何も言わないけどね」

そう言いながら花を花瓶に生けた朝霧は、見舞客用の丸椅子に腰掛けた。

「アレスさんにも会ったでしょ？風で物体を風化させる“個性”の、緑髪緑眼の男の人。私の職場体験先なんだけど」

「ウィンドヒーロー・アレスのこと？会ったけど…。
……あのさ朝霧さん……その、大丈夫だった…？」

「何が？」

心配そうな緑谷に、詳しく説明するよう促す。

暫く迷っていた緑谷だが、やがて観念したように口を開いた。

「えっと、アレスの元相棒にエルドっていうヒーローが居たんだけど、十年くらい前に失踪しちゃったんだ」

「えっ、そうなの？だから相棒が居なかったんだね」

いけしゃあしゃあと言う悠花。

「で、エルドなんだけど……」

口ごもる緑谷。目線で続きを催促する悠花。

「本当に、あくまで噂なんだけどね？ ……敵に情報売ってたんじゃないか、って疑惑があるんだ」

「…へえ？」

「あ、その、本当にあくまで噂で！！でも、あー、その、ちょっと心配になっちゃったっていうか！！」

「いやいや、心配してくれたんでしょ？ありがとう。でも、大丈夫だよ」

にこやかに笑った悠花は、時計をちらりと見た後、挨拶をして病室を去った。