＿＿special 2 years (ページ38)

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(錦戸 side)

俺がデビューしてちょっとした時、

事務所のオーディションを見に行ったことがあった。

事務所に言われたから来ただけで、

新しい子らに興味はないし、

誰が合格しようが俺に関係ないと思ってた。

ボーッとしながら、ダンス風景を見てると

1人、目を引く子がおった。

『何あいつ…』

みんなが必死になって踊る中、

そいつだけは笑顔で、

キラキラしながら踊ってた。

いっぱいおる中で、誰よりも楽しそうに。

こいつは売れる。

気づけば、そいつばっかり見てて

話しかけてた。

『自分、アイドルなりたいん？』

俺に話しかけられたのに一瞬目を丸くして驚いてたけど

一瞬にして笑顔になって

「はい！」

満面の笑みで頷いた。

名前自体は分からんかったけど、

そいつが持ってたタオルに S.T って

刺繍されてたのは覚えてた。

『頑張れ。待ってるから。』

心の底からそう思って口から出た言葉。

ほんで今、

その時のそいつが大人になって目の前におる。

幼かった顔は成長して、あの頃の面影はあるけど

大人になったと思う。

『あの時の…』

佐「あの言葉のおかげでここまで頑張れたんです」

佐「病気も…乗り越えようって。夢絶対叶えようって」