＿＿special 2 years (ページ37)

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37.(錦戸 side) ページ37

(錦戸 side)

すばるくんにも怒られて、

もう頭に血が上ってまたあいつの胸ぐらを掴んだ。

『お前のせいで…』

1発殴ろうと

拳を振り上げた瞬間。

佐「ちょっと来いや」

俺の拳を掴んで、

ドスの効いた声を出すと

俺の手を引いて楽屋を出る。

『離せやっ…！！！』

手を振り切ろうとしても、力強く握られてて離されへん。

どんどん歩いてく背中を睨みつける。

『お前ほんまええ加減にしろや！！』

やっとのことで手を振り切ると、

周りに人はないない。

振り返った佐野は、

あの日みたいな、何を考えてんのかわからん顔。

『なんやねん』

佐「なんで辞めるとか言うんですか」

は？こいつ、ふざけてんのか。

『お前のせいじゃ』

『お前が入ってくるなら俺は辞める』

佐「辞めないでください！」

凛とした声が響く。

佐「そんなこと言わないでください！！」

『じゃあお前が辞めろよ』

佐「錦戸さんがいなきゃダメなんです」

俺に1歩近づくと、

佐「錦戸さんに…救われたんです。」

さっきまでの凛々しい顔とは違って

切なそうな目で俺を見た。

思わず何も言い返すにいると

佐野は話し出した。

佐「俺の…大切な人が、錦戸さんに何度も励まされたと言っていました。」

佐「錦戸さんの存在に。元気をもらってたと。」

『は…？』

佐「彼は、幼い時錦戸さんに〝頑張れ〟って言われたと」

泣きそうな目で、

佐「本当にありがとうございました…」

そう言って頭を下げるそいつのことを

俺は思い出した。