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もっと言いたいことたくさんあったのに。
そう吐き捨てた葵に、俺はなんも言えなくなってしまった。ただ、なんて逞しいおんななんだろうと胸がいっぱいになった。
｢…葵さん、くそイケメン｣
｢え？…あ、誠也いたの？｣
｢もーまじでイケメンだった！｣
｢本当？わーい｣
｢…こっちは完璧に惚れ直してるわ｣
｢え？｣
｢龍馬、｣
ふたりの会話を、腑抜けた面で聞いていたのだろう。誠也に揶揄われるように声をかけられ、はっとする。そのまま葵と目が合って、少し動揺しながら口を開いた、
｢葵、お前｣
｢龍馬、｣
｢…あんなこと言って、またあの女が何しでかすか分からへんぞ｣
｢もう、なんにもしてこないと思うよ｣
｢なんで分かんねん｣
｢女の勘？それより龍馬、｣
｢あ？｣
｢…惚れ直した？｣
｢…調子乗んな｣
わー、照れてる！そう喜ぶ葵。
そりゃ、あんなこと言われれば惚れ直すわ。なんて奴なんだと思うわ。俺と俺の誇りである野球を馬鹿にするなと言ってくれた葵は、どんな俳優よりかっこよかった。
俺の苦労や努力を、ずっと横で見守ってくれた彼女だからこそ、その言葉が咄嗟に出たんだと思う。葵は、自分が貶されたことよりも、俺を傷付ける言葉が許せなかった。あの言葉には愛情がたくさん含まれていて、どんな愛の告白より嬉しかった。
そもそも、俺だってあの女に言いたいことたくさんあったぞ。こんなかっこよくて綺麗な彼女を、あんだけボロクソに言われて、何も言い返せてない俺の立場も考えてくれ。そう思いながら、葵に近付き力いっぱい抱きしめる。
｢わ、龍馬｣
｢…はあ｣
｢龍馬、｣
｢…ほんま、ごめん｣
｢うん、大丈夫。分かってる｣
｢俺が情けへんから、葵を巻き込んだ。…傷付けた｣
｢龍馬が傷付けた訳じゃないでしょ｣
｢いや、でも俺がもっとうまくできたら、葵とあいつを会わせることもなかったやろ｣
｢いいの。おかげで威嚇できたし。あーでも、龍馬に近づくなって言い忘れた｣
｢言わんでも大丈夫やろ｣
｢まあね、｣
｢……葵｣
｢なあに？｣
｢一生、ついていきます｣
力強く抱きしめ言うと、大声で彼女は笑った。この笑顔を守るためなら、どんなことでもやると、俺はこの時、心に誓った。
抱きしめた写真を、誠也に撮られていたことに気づかず、この話がカープ内で広まるのは、もうすぐの話。
＿fin
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aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして＊こちらこそありがとうございます！とても励みになります＾＾ (2021年6月1日 12時) (
レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして！aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです！ (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです！ (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます＊(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…！) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです＊ (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年4月2日 23時
