紅 ページ26
＿
｢…こたくん、ねーえ…｣
｢………｣
｢あれぇ…こたくん、顔真っ赤だねえ？｣
きゃっきゃと笑う葵さん。固まる俺を楽しそうに見ている。それはそのはず、なんたって葵さんは、ソファーに座る俺の膝の上に、自ら乗ってきたのだ。普段、絶対こんなことできる人ではない。寧ろ、俺が少し抱きしめただけで、未だに恥ずかしがるような人なのだ。
では、なんでこんなことになっているのかと言うと。葵さんの手に握られているのは、紛れもなくアルコール飲料で。元々、お酒には滅法弱くて、呑まない人なのに、好奇心で飲んでしまったらしく。風呂から出た俺が気付いて止めに入るも、既に半分以上は空けられていた。
そして今に至る。
｢こうちゃん…？ねぇ、｣
｢……(普段こうちゃんなんて言わんくせに)｣
｢私ね、…すきだよ、こたくんのこと。だいすき｣
｢…ぐっ……｣
(これあかん、色々あかんわ)
俺を覗き込む瞳は潤んでいて、その濡れた唇は甘い言葉を述べる。上気した頬と、風呂上がりの香り。いつもの葵さんはどこにもいなくて、ただただ甘える彼女は、まるで知らない人のようだ。
細い指先が俺の頬に触れるから、思わず華奢な手首を掴んで制止してしまう。これ以上、触れられたら、何かしでかしてしまいそうで。
｢…葵さん、水持ってくるから降りて｣
｢やーだー…｣
｢ちょ、こら…擽ったいから悪させんといて｣
｢…っただ私は、こうちゃんに触れたいだけなの｣
｢葵さ、……｣
これは、もはや夢？
彼女の唇が、俺のに触れた。葵さんからキスをされている。こんなこと、有り得るのだろうか。あの恥ずかしがり屋で控え目で、人見知りな、あの人が。
｢…っ葵さ、｣
｢ん、｣
｢…ちょっ、ん……｣
キスがどんどんエスカレートして、ちゅっちゅとノイズを立てる。啄むようなものと、時々、唇を噛まれた。どこでこんなの覚えたんだ。そう思いながらも、なされるがままで。
逆を思えば、滅多にないことだ。そう思う悪い俺は、静かに目を閉じた。彼女の腰に手を添えて、それを静かに受け入れる。
｢…はぁ、こた、くん……｣
｢葵、｣
｢…こたく、ん…すき｣
｢…っ｣
｢私ね、こたくんの彼女になれて、本当に幸せなの…っ｣
｢……葵さん｣
｢ん…？｣
｢もう、知らんで｣
潤む目尻に、欲望の何かが切れて。そのまま強く抱き寄せた。
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aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして＊こちらこそありがとうございます！とても励みになります＾＾ (2021年6月1日 12時) (
レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして！aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです！ (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです！ (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます＊(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…！) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです＊ (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年4月2日 23時
