嬉々 (ss)

ちょうどいいや ページ13

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｢葵って小さいよな｣

｢……は？｣



洗い物をしていた私の後ろに、背中合わせで立ち、突然の背比べを始めた龍馬。なんなのこのひと、こんなさらっと喧嘩売るひとっているの？私が平均身長より小さいこと、気にしてるの知ってるくせに。



｢普段、そんな小さく見えへんの不思議よな｣

｢だって、小さくないもん別に｣

｢…あ、態度がでかいから大きく見えるんやな｣



思いっきり鳩尾にパンチを入れてやった。たぶん大して痛くないはずなのに、大袈裟に痛がるこの失礼男が、どうしてそんなことを言い始めたのかは知らない。



｢龍馬だって、そんな大きくないじゃん｣

｢いつも一緒におる奴らのがたいがいいだけで、一般的に見たら大きい方やぞ｣

｢あ、ごめーん、そうだった？器が小さいから、小さく見えちゃっただけかも｣

｢…お前覚えとけよ｣



きっと睨まれるが、全然怖くない。そんなことを思いながら、洗い物を済ませる。



｢なんで突然、そんなこと言い出したの？｣

｢…え？あ、うーん｣

｢…歯切れ悪い。怪しい｣

｢いや、この間、誠也たちと身長の話になったんやけど、葵と何センチ差か聞かれて、｣

｢答えられなかったんでしょ｣

｢…だから、答え合わせした｣

｢20cmくらいは違うんじゃない？｣

｢せやな、意外とあるな｣

｢ちびで悪かったね｣

｢いや、これに慣れてもうてるからちょうどええわ｣

｢…高身長のモデル体型になりたかった｣

｢じゃあ、まずはこの腹からどうにかせなあかんな｣

｢本当にどっか行ってください｣



そんな出てないぞ、そりゃ龍馬の身体に比べればだらしないけど。そう思って黙っていると、怒ったと勘違いをした龍馬は、冗談やで、と苦笑いをしていた。



｢…ダイエットする、明日から｣

｢いや、それ言う奴大概せえへんやん｣

｢するもん、｣

｢冗談やて、怒らんといてや｣

｢知らん｣

｢もー、葵ちゃん｣

｢きも｣

｢…そのままでええって｣

｢……｣

｢抱き心地ええし。柔らかくて｣



フォローのつもりで吐かしたのであろう、龍馬の台詞に、もう一度鳩尾に手加減なしのパンチを入れた。





＿fin
謎なおはなし。
このふたりの、こんなお話読みたいな、っていうのありますか？あったら教えてほしいです。
あ、花束のふたりでも、こんなお話読みたいってありましたら、花束の方にコメントください。なぜここで言うのか、という感じですよねすみません。参考にしたいと思います。

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