■Story.65 ページ15
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裕翔「ほら、早くいくよ?」
あ「ちょっと待って、あと少しだから。」
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母さんも父さんも仕事などで家にいなくて。
二人とも遅くまで帰ってこないらしい。
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裕翔「そのままでも十分だと思うんだけど。」
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Aの部屋を覗くと、鏡の前で
一生懸命メイク中だった。
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あ「できた!あ、お兄ちゃん。」
裕翔「ったく、俺をどれだけ待たせるつもりですか?」
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あ「ごめんなさい。でも、
可愛くしたかったんだもん。」
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小さな鞄を肩にかけて、Aは俺の隣に
並びにこっと笑う。
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メイクのせいか、少し大人っぽいA。
朝からドキドキしてしまった。
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裕翔「行きたいところ決めた?」
あ「うん!決めたよ。遊園地に行きたい!」
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裕翔「了解。じゃぁ、電車乗っていこうか。」
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さすが休日。
やっぱり出かける人で少し人が多い電車内。
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あ「お兄ちゃん、大丈夫?」
裕翔「大丈夫だよ。」
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座れなかったのでAを壁側にして
隅で二人で電車に揺られる。
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裕翔「二人の時は呼び方、
お兄ちゃんやめよっか。」
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あ「えっ?」
裕翔「俺のこと普通に名前で呼んでよ。」
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呼び捨てで呼ばれることに憧れてる。
そんな単純な理由じゃなくて。
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せめて二人の時だけは、“兄妹”ということを
考えたくない、忘れたい。
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あ「裕翔…………」
裕翔「フフ、よくできました。」
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月23日 5時