02 希望的な出会い ページ4
「…でも貴方、どこか危険な香りがする。」
「…あは、そういってもらえると嬉しいな。」
憎しみや嫌悪、憎悪、そんな意味を込められた瞳を向けられる。
ボクは興奮しきっていた、何故かはわからない。
でもこれだけはわかる、彼女は似ているんだ。
ボクの愛した“彼女”に。
外見もおそらく性格も何もかもパッと見では何も一致してないし
かすってすらいない、でもボクの第六感が騒いでる。
“彼女”だって。
「…キミは、彼女の事を知ってるの？」
「彼…女？」
首をこてんと傾げ聞き返す。
さしずめ小動物と言えるその動きはボクを射止めるのに十分だった。
ボクは自分の身に着けていた“手袋”を外し、
目の前にいる彼女に見せた。
「っ……！！貴方、それっ…！！」
「…あは、はははっ！！凄い顔をしているよ。
まるで、“何であんたがあいつの手を持っているの”って言いたげな顔だ。」
ボクが笑ってそういうと彼女は此方へと歩み寄ってきた。
それはもう凄い顔で。
「何で…貴方、やっぱり絶望に堕ちているんじゃない……！！」
「…。」
ボクはにこにこと鬼の形相をしている彼女に微笑み続ける。
彼女は憎しみを込めた瞳でボクの左を見つめた。
…よっぽど彼女の事が嫌いなんだろうね。
“彼女”の愛する絶望が嫌いなんだとしたらもしかしてこの子は
「キミは、“希望”を愛しているんだね。」
「…絶望よりかはマシ。」
「そう…なら話は早いね！」
ボクはは近くにいる彼女の腕をぐっと引き
ボクの胸へと収める。
この子は希望を愛しているんだ、ボクと同じように、希望を。
「…私を殺す気なの？」
「そんなまさか、希望を愛しているキミを殺したりなんかしないよ。」
「愛しているとまでは言ってない。」
「ボクには愛していると聞こえたんだ、それで十分だよ。」
ぎゅっと彼女を抱きしめる。
とくとくと規則的な心臓の音が聞こえる、その音にボクも安心する。
あぁ、やっぱりキミは彼女と似ているんだ。
彼女と正反対で、それでいて似ている。
「ねぇ、ボクとチームを組もうよ。」
その理由だけで十分だった。
彼女と行動する理由は。
キミといたら、また彼女に出会えるかもしれないんだ。
死んでしまった彼女に。
消えてしまった絶望に。
ボクが愛した、絶望に。
終わり
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作者名：林檎 | 作成日時：2016年9月6日 16時
