虹色のパレット (ページ9)

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親友に相談するもなに？リアルな夢でも見た？と本気にして貰えない

先輩は高嶺の花だ

ファンクラブというものがあるほど
抜け駆け禁止と言われるほど

私みたいなのが両想いになっていい人じゃない

主人公になるべきは先輩と釣り合うような儚くて、どこか強い綺麗な女性(ﾋﾄ)

私は周りのモブになっているのが正解なのだ

その日、先輩達が2年の下駄箱付近まで来たかと思うと私の前で立ち止まった

叶先輩が私に何か用事があるのかと思っていたら、じゃあ頑張って～と今にも雪が降りそうな空の下をそそくさと帰って行った

何か用事ですか？と聞くも先輩は無言だったから、人違いだったのかなと

そう思って私も昇降口を出ようとした時、話があるから来てと腕を掴まれた

たくさんの人が見ている中で

さっき来た道を戻って3年生の教室に連れていかれる

どこかの誰かも知らない女の子たちが耳打ちを始めているのだろう

きっとそれは私の正体を突き止める内容のもの

人生で2度目のその空気はとても耐えられるものではなかった

噂が飛び回っているだろうすぐそこの未来を想像して息を呑む

走り気味で着いたそこには暖房の温かさがまだ残っていた

普段来ない階の、しかも3年生の教室だということもあってとても緊張する

多分それだけが理由じゃないと思うけど

話ってなんだろう

告白という言葉が脳裏を過ぎったけど、そんなことあるわけないと必死に振り払う

早く、早く、好きな人と2人きりな空間に音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい心臓の音がうるさい

できるだけ早くこの空間から逃げ出したかった

今日と同じように染まった放課後の空は、静かに教室を茜色に照らしていた

先輩は声を発する気配がない

だけど、窓の外の色も相まってか、少しだけ顔が赤く優しく染まっているように見えるのは気の所為なのか

期待、してもいいのかな

内容はなんであれ呼び出された嬉しさと緊張でどうにかなってしまいそうだった