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まるで興味がないように放ったそこの言葉はやけに冷たく聞こえた
「っ、、、、、、」
「あ?どうして泣くかねぇ…」
私のことなんて本気じゃなかったんだろうな なんて思っていたら勝手に涙が出てきた
好きな人の前で泣くなんて嫌
必死に泣きやもうとしても、1度流れてしまったらもう止まることを知らない
冷えた頬に流れる温まったそれは余計にこの場の居心地の悪さを感じさせた
「…だから嫌だったんだよ」
「ごめん、なさいっ」
呆れたような言葉に更に涙は溢れてくるばかりで、余計にめんどくさがれるのは分かっていても止められなかった
なんで泣いてるのかなんて分からない
振ったのは私なのに
嘘だったとしても告白されて嬉しいはずなのに、それなのに悲しいと思ってしまっている
先輩の顔を見られない。怖くて。悲しくて。不安で。どんな顔をして私を見ているのか気になって仕方がなかった
「本当は告白なんてしたくなかったって言ったら怒るか?」
葛葉先輩がそんな人だとは思わなくて、この事実が悲しくて、涙は更に溢れるばかり
決定的な一言に少しだけ顔をあげるも、不機嫌な顔はそこにはなく、優しく眉を下げている整った顔があった
はぁ、という短いため息が聞こえる
次は何を言われるのかと待ち構えていたのに、紡がれたのは予想とは違う言葉だった
「A、俺はお前のこと好きなんだけど。お前は?」
まだ言うのかと、遊び足りないのかと、
そう言いたくなるほどの台詞を、私の目の前まで歩いてきては甘い声で説く
「好き…?ほんとに??だって今……」
頭で考えていることとは違う言葉が口から出る
嘘でしょと、彼の言葉を否定しなければいけないのにまだ信じたい気持ちが勝つ
私みたいなのが葛葉先輩と両想いになっちゃいけないのに
先輩の顔はいつも以上に赤く染まっていて、その瞳は私の姿をしっかりと写している
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作者名:みそ漬けキュウリで殴る x他6人 | 作成日時:2021年11月16日 17時