■東真と西都 ページ17
幼い頃から色々なものが見えた。
多くのことを聞けた。
遠くの匂いも辿れたし何の匂いかも直ぐに分かった。
味やちょっとした揺れなんかの感覚にも敏感だった。
それに、勘がよく当たった。
双子はそれらを普通のことだと思っていた。
自分たち2人がそうなのだから、周りもきっとそうなのだろうと。
だがそれは間違いであった。
普通の人は数十m先のものまで見ることは出来ない。
普通の人は5階上の音まで聞くことは出来ない。
双子が気づいた頃には遅かった。
守る術等なく、聞くまま見るままに全てを受け取ってしまった。
内緒話も、陰口も、嘲笑う顔も何もかも。
それから双子は変わり始めた。
良く見える片目はそれぞれ隠した。
もう見えないように。見えてしまうことがないように。
声を聞かない為に言葉を無くした。
話さなければ分からないから。
匂いにも反応しないように、味もわからないように、敏感に何かを感じることのないように。
何かしらの工夫で隠していった。
しかし、第六感はどうしようもなかった。
コントロールすら出来ないものであったから。
双子はそれを諦めた。
勘だけならと、妥協した。
そして運命の日。
世界が一度壊れた日。
双子は勘が働いた。
これから何かが起こると。
それは悪いことで。
どうしようもないことで。
きっと
「「大事なものが消える」」
双子のセカイが崩れることだと。
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