扉の先に【募集企画小説】

22話 『真裏帆理』 ページ22

手を握りあった自己紹介が終わりしばらく。未だに行動出来ずにいる。

ここから動く、のがいいのだろうけど…


「ところで帆理くん。君は、これからどうすれば良いのか知っているかい？」

「ぁ、えっと…確か出口を探すらしい、です…」


唐突に投げかけられた質問に、少し慌てながらも答える。最後の方は小さくなってしまったが、しょうがない。

すると、偉いなと頭を撫でられた。


偉い、のか？
褒められたことなんて、ほとんど無い。
だからだろうか、初めての感覚でよく分からない。


まあ、今はそんなことより、ここを出ることを考えなければならない。

ウサギ、を信じるなら出口の扉を探すしかない。けど、一体どこにあるのだろう。

地理なんて分かりっこない。
でも動いた方が、いい？のかもしれない。

そう思った時、ルークさんが涼しい場所に移動したいと告げた。

復唱しながら考えれば、確かに暑いのは嫌だ。


なら、ノーシーズンエリア？に行くのが一番だろう。


提案を言ってみようと、ふと顔をあげれば、ルークさんの視線に気がつく。

どうか、したんだろうか？

首を傾げ、言葉を紡ごうとした、


その時


叫び声とも悲鳴とも聞こえる声が響いた。





驚いて振り返った先には

「ﾋｯ、あれ…もし、かして…


ナレ果？」



危機が迫っていた。

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