【wrwrd】A firm promise【企画】 (ページ5)

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「なぁ、Aちゃん」

突然、口を開いたことよりも、

女の子を呼ぶ時に使う、ちゃん付けで呼ばれたことに驚いて、トンさんの行動に抵抗出来なかった。

ぱさっ…

帽子を捕まれ、つめていた髪が舞った。

『…ぁ…』

見られた。
女だって、バレてしまった。
いや、元からバレていた？
女だとわかっていた？

頭がパニックになった。
立ち上がって逃げ出そうとした。

「逃げんとってくれや」

腕をつかまれて逃げることも出来なかった。
トンさんの顔を見ることが出来ず、ただ立ち尽くすだけだった。

『なんで、なんで私が女だって分かったんですか』

バレてないはずだった。
今まで何も言ってきてなかったのだから。
誰も、気付いている素振りを見せてなかったから。

「最初、ここに来た時にはAちゃんは女の子だって気付いてん」

最初にあった時から…。
今まで、ずっと黙っていたの？
気付いていたのに？

『どうしてそれを言わなかったんです。女だったら目障りでしょう？』

僕が、男としてここに来た理由がそれだ。
女として、トンさんに会えるのならそれが良かった。

でも。

それじゃ、目障りとしか思われないって思った。
兄ちゃんの紹介があるとは言え、女は使えないって思われて、ここに来れないのも嫌だった。

「目障りって…。

Aちゃん、覚えてないん…？」

覚えてない…？
何のことだろうか。

トンさんに会ったことがあるって言うのはずっと前に、ここに来た時に伝えた。
憧れであることも。

それ以外に、私がなにか覚えてなくてはいけない事？

「そっか。覚えてへんのやな…」

トンさんの顔はとても悲しそうだった。

*