【wrwrd】A firm promise【企画】 (ページ24)

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gr：君のために。(翔和) ページ24

Aside

「…」

目の前に広がる灰色の壁。冷たい床。
…嫌でも現実というものを見せられる。

「…」

鉄格子の先に見える外の景色は晴天で、美しいと思われる空色なのに、私には霞んで見えた。

…幼い時、私の国は負けた。
不平等な条約を結ばされ、反抗されないように、姫を差し出せと言われたらしい。
困った国王は、身代わりを探した。結果、姫によく似た人物を見つけることが出来た。
…それが私だったのだ。
親は喜んで私を差し出した。拒否権など存在しなかったのだ。
この頃、私に友と呼べる人は幼馴染のグルッペンしかいなかった。
…私はいつもの様にグルッペンを誘った。

A「ねぇ、グルちゃん。」
グル「ん？Aどうしたんだ？」

イタズラでも思いついたのか？というグルッペンに私は微笑んで…

A「あのね、グルちゃんともう二度と会えないかもしれないの。」

グルッペンは、驚いた顔をして私に問いかける。

グル「…なぜだ？俺が嫌いになったのか？？」
A「違うよ、グルちゃんあの…「だったらなんでや！！」」

グルッペンの真っ赤な双眼が歪む。
ここまで感情的なグルッペンを見たのは初めてだった。

A「…私ね。この国のお姫様によく似てるんだって。お姫様が他の国に連れてかれちゃうのはみんな嫌だから私が行くの。」
グル「お前が行く必要はないやろ！この国を抜け出して、それで…！」
A「グルちゃん…」

私はグルッペンの前に小指を立てて、微笑む。

A「ありがと、グルちゃん。凄く嬉しいでも…それは出来ないよ…」

それはこの国を巻き込んでしまう。多くの命が失われてしまう。それだけは嫌だった。

A「グルちゃん約束して？大人になったら迎えに来るって…」
グル「…ああ…必ず、Aを助けてみせる」