【wrwrd】A firm promise【企画】 (ページ15)

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ひと月ほど経って、出会った時より二人はずっと仲良くなった。
今は１、２週間に一度ほど二人で食事に出かける程度の関係だ。
数回の食事で少しは彼のことが分かってきた。
軍学校に通っていること、海軍に入ることが夢だということ、彼の豊富な歴史の知識は趣味で蓄えられたものだということをはじめ、いろいろな話を聞いた。
そしてそれと同時に彼女は、婚約者である前提とは別に、彼に惹かれていった。

だがある日、原因は大したことではないのだが、喧嘩になったときがあった。
『賢い彼には自分の気持ちはわかってもらえない。』
考えれば、仕方がないといったら仕方がないことだ。
だがきっと当時の彼女は、恋愛感情も相まって彼へ期待した部分もあったのだろう。
ついキツい言葉で当たってしまった。
さらに反論した彼もなかなか理解しきれていない状態で言い返したのがまた失敗だった。

一度の口論のはずが、長期間に渡ってしまうことになってしまったのだ。
１，２週に一度ほどだった食事はなく１か月ほど会えない日が続いてしまった。

＊
「・・いいんですか？」
「何がですか？」
「こんな話までお聞きしても」
「あー」
言うと彼女は楽しそうに笑った。
「いいんですよ。ただのいい思い出ですから。他に聞いてくださる方もいらっしゃらないですし」
「そうですか」
「あ、それともご迷惑でしたか・・・？」
不安そうに彼女が尋ねた。
「いえ。とんでもない」
ちょっとした興味本位で聞き始めた昔話だが、先ほどからとてもワクワクしながら聞かせてもらっている。
純粋に彼女の話し方がうまいからか、以前は毎日のように聞いていた上官の話し方にどこか似ているからかも知れない。
そのせいか話している彼女はもちろんのこと、２人ともお茶が空になっている。
その旨を伝えると、彼女は安心したように微笑んだ。
「続きをお話ししますね」
２人分の３杯目のお茶を入れなおし、話はまだ続く。