【wrwrd】A firm promise【企画】 (ページ14)

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出会ったのは、学生の時だった。
その出会いが運命的であったというわけではなかったのだが、二人の人生においてとても大きな出来事であったのだ。

出会ったきっかけは大したことではない。
見合い話だ。
花の女学生だった彼女は、嫌がることもなくその話を受け入れた。
そして、今から２０年ほど前のある晴れた春の日に、二人は初めて出会ったのだった。

男性の中では割と小柄で細身。
穏やかだが少し早口な口調。
そして豊富な知識。
苗字からか、普段は「オスマン」と呼ばれているらしい。
そんな彼と打ち解けるのに大した時間は必要なく、２人はたまに食事をする程度の仲にはなった。

＊

そこまで話したところで彼女は持っていた小さな鞄から一枚の写真を出した。
「実は今日、彼の話もするつもりで来たんです」
写真をこちらに渡し、そう笑いながら言った。
「この、桜の下にいるのが彼です」

写真の中にいる学校指定の制服を着た上官は、私の知っている上官とは大きな違いはないが、ただ少し穏やかな表情に感じた。
「素敵でしょう？」
先ほどより少し頬を赤らめ訪ねてきたので、もちろん
「ええ」
と笑って返す。
そして、
「でもそんな彼にもちょっと困った話があるんです」
一口お茶に口を付け、彼女は続けた。