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翔「……ねぇ、涼太」
舘「ん?」
翔「今日仕事何時までだっけ」
舘「えーっと…確か夕方には終わると思うけど」
翔「じゃあさ…帰るまでに何か考えといてよ」
舘「何って?」
翔「何でも、して欲しいこととか、これ欲しいとか…」
舘「……あぁ」
どうして急にこんな事言い出したのかと思えば……そういえば今日だったか
きっとこうして朝食を作ってくれたこともそれが関係してるんだろうな
相変わらず、素直じゃないけど優しさに溢れている人だと実感させられる
そんな君と幼馴染みで、同じグループのメンバーで、恋人である事が誇らしく思えるよ
舘「ん〜……別に要らないかな」
翔「えっ、なんでっ」
舘「して欲しいことも欲しいものも…これっていうものは無いし」
翔「せ、せめて考えるくらいはしてよ、まだこれから帰ってくるまで時間はあるんだからさっ」
舘「翔太」
翔「っ……なに」
舘「なにも無理して特別な事しようなんて思わなくて良いんだよ?」
翔「べっ、別に無理なんか」
舘「俺からしたら、今こうして朝食を作ってくれたこと、それだけでだいぶ満足してるよ」
翔「そんな、飯作るなんて当たり前じゃないの?」
舘「うん、そうだね、でもこうして翔太がやろうって決めて作ってくれたことが俺にとっては物凄く嬉しくて…それだけでもう特別なんだよ」
翔「……」
舘「何もしなくたって良い、ただ隣に居てくれたらそれだけで俺にとっては十分素敵なプレゼントになるよ」
翔「っ……何だよそれ…涼太がどういう希望出すか分かんないからってめちゃくちゃいろんな事調べたのに俺……」
舘「あら、それはゴメンね?」
翔「良いよもぅ…」
舘「…でも折角調べてくれたわけだし、それはまた違う時に、一日ゆっくり出来る日にでもさ、一緒に行こ?」
翔「…うん」
舘「じゃあ……今日仕事行く前にハグしてくれる?」
翔「っ、はっ?」
舘「良いでしょ?」
翔「…それだって別にいつもじゃん」
舘「いつも通りが丁度良いの」
翔「……分かったよ、すれば良いんだろ」
舘「ふふっ…」
誕生日という日は一年に一度しか来ないからこそ特別でありたい
でも結局その一日も、日々過ごす中で淡々と過ぎていくただの一日に過ぎない
だったら特別な事なんて何もなくて良い、いつも通りで構わない
そこに貴方が居てくれるなら、それだけで特別だと言えるから
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作者名:莎々 | 作成日時:2022年2月27日 16時