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多分本来だったら許されることじゃない、間違いなく岩本家からの天誅を受けるだろう
何を言われるか分からなくてドキドキしていると、肩に手を置かれた感覚がしたかと思うと、身体を起こされた
顔を上げると、そこにはこれでもかというほどに優しく微笑む新吉さんの姿があった、そして
翔「っ！」
照「なっお前…！」
そのままギュッと抱きしめられた、えっ、何が起こってる？
翔「あの…新吉さん？」
岩「あなたが謝る必要など無い、逆にあなたをここまで大変な目に遭わせてしまったのは私の方だ…本当に申し訳ない」
翔「えっ、どうして、新吉さんが謝るんですか？」
岩「…私が、本気であなたに恋をしなければ良かったのだ、お家のための結婚だと分かっていながら…あの時あのようなことを言わなければ…」
翔「……」
岩「例えそこに嘘があったとしても…私に幸せな時間をくれてありがとう、きっとあなたへの想いはなかなか忘れられずに苦労するかも知れない、でもあなたと過ごした日々だけは絶対に忘れはしない」
翔「っ、それは俺もです」
岩「ふふっ…そうだ、良かったらこれを貰ってくれないか？」
そういって新吉さんは袖から簪を取り出した、それはあの日俺が新吉さんから貰った物であり、今はお雪さんに渡したはずの簪だった
翔「えっ、なんでこれが？」
岩「今日婚礼の儀を挙げる前に、少し二人で話す時間があってな、その時彼女は頭に角隠しをしていてこの簪は邪魔になるからと一度外していたんだが、これをどこかに置かせて欲しいと言われたとき、なら私が持っていようと預かっていたんだ」
照「まさかそれを今こうして会えたからって黙って渡すんですか？」
岩「お雪にはちゃんと説明する、それに誰よりも彼の存在を知っているのは彼女たちなのだから」
照「それはそうかもしれないけど…」
岩「…どうか貰ってくれないか？」
翔「あっ…」
正直悩んだ、だってこれは新吉さんが最初にお雪さんに贈った物だ、確かに受け取ったのは俺かも知れない
でもこれの持ち主は誰が何と言おうとお雪さんなのだ、それを俺がもらって良いのか？
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作者名：莎々 | 作成日時：2023年3月27日 21時
