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屋敷を出てからもだいぶ急ぎ足で離れたからきっと大丈夫だろう
照「なに、どうしたの急に」
翔「いや…新吉さんと目合っちゃった気がして」
照「は？マジかよ」
翔「多分大丈夫だと思う、いくら顔が似ているとはいえ全く知らない格好だし気付いてないと思う」
照「そうかなぁ…」
翔「ちょっ、そんな不安にさせるような言い方しないでよっ」
照「ゴメンゴメン笑」
と、しばらく道なりに歩いていると、その不安は的中してしまった
「そこの方！少し宜しいですか？」
翔「っ！」
照「追いつくの早くね？」
後ろを振り向くと、紋付き袴を着た新吉さんが立っていた
岩「あの…あなたは…お雪さんではありませんか？」
翔「っ…いえ、人違いです、それにそのお雪って人、女の人ですよね？俺は男ですよ？」
岩「えぇ確かにその通りです、ですが…間違いなく、あなたは私の知っているお雪だ」
翔「…なんで、そう思うんですか？」
岩「…あなたの目が、全てを物語ってくれています」
翔「っ、え？」
岩「私のことを見つめるその真っ直ぐで澄んだ目を、忘れるはずがありません」
翔「……」
岩「正式に挨拶をしに行かせていただいたとき、確かに目の前には愛しい彼女の姿がありました、でも…私を見るあの目から、あの時のような感情は生まれませんでした、彼女がお雪である事は間違いないと思ってはいます、でも…どうしても違うんです」
照「…翔太、さっさと屋敷に帰るように言った方が良いぞ」
翔「えっ、あっ、うん…」
岩「っ！あ、あなたは…」
照「あっ…どうも、瓜二つの者です、一度言われませんでした？」
岩「えぇそうです、お雪に会うために屋敷を訪れたとき」
照「それが俺です」
岩「なんと…本当にそっくりですね」
照「まぁそんなことはどうでも良くてですね、早く戻らないといけないんじゃないですか？あなたの家族も、もちろん雪姫や雪姫様の家族も今相当驚かれているんじゃないんですか？」
岩「えぇ分かっています、でも…私はどうしても諦めきれないんです」
照「は？」
岩「例えあなたが何者でも構わない、私は、あなたのことが好きなんです！」
翔「なっ…！」
照「おい、お前何言ってんのか分かってるのか？」
翔「分かってます、でも…私の気持ちに変わりはありません、ですからどうか…私と一緒になってくださいませんか？」
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作者名：莎々 | 作成日時：2023年3月27日 21時
