廻り愛 (ページ25)

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…それにしても、あんなに怒った進之介さんの顔、ここに来てから初めて見た

まぁそれくらいホントに心配だったんだろうし、迷惑をかけてしまっていたことをちゃんと分かって欲しかったんだろう

ただ、気になることが一つ

無事にお雪さんが見つかり、晴れて俺が借りる服は女性の着物から男性の着物へと変わった

未だに姿の見えないお雪さんの弟こと官兵衛の服を借りることになって、そんな官兵衛の部屋で着替えていると、進之介さんが部屋に入ってきた

宮「…この度は、大変申し訳ありませんでした」

翔「ちょっ！そんな止めてくださいよ、それに、元はと言えば帰る方法を探して貰う代わりに俺がお雪さんの代わりになるっていう条件でしたから」

宮「それはそうですが…やはり、多少甘くしすぎていたのかも知れません」

翔「…というと？」

宮「実は…殿の奥様、つまり雪姫のお母様は、弟である官兵衛様をお産みになられた後、亡くなってしまったのです」

翔「えっ…確かに、一度も会ってないような」

宮「はい…殿と官兵衛様は男同士、侍同士、親子として良い関係を作られていたようですが…女性の方が行うこと、好きなこと、そんなことが全く分からないほど殿は常に武士道まっしぐらなお方だったようで、雪姫とはあまり良好な関係ではなかったそうです」

翔「そうだったんですか」

宮「私は幼い頃からこの渡辺家とは関わりがありましたので、時折一人で居る雪姫の元に行っては何かして上げられることはないだろうかと考えていました…それはきっとここの使用人達も皆思っていたことでしょう」

翔「…それが、甘やかしすぎてしまったって事に繋がるんですか？」

宮「おそらくですが…我々は雪姫の願いは何でも聞いてきました、そういった生活が姫を我儘にしてしまったのではないかと」

翔「……」

宮「…実を言えば、今までにも今回のようなことはあったのです」

翔「えっ、それ本気で言ってます？」

宮「はい、しかしその時は必ず私が護衛として付き添っていたのですが…どうして今回は…」

翔「…なにか感じたんじゃないですか？それこそ、自分に縁談が舞い込むかも知れない、とか」

宮「えっ？」

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