２４ ページ24
．
…危なっ、このままお雪さんがそこでの暮らしが楽しくなって一生ここに住むとか言ってたら、しかもそこで便りの一つも出さずにいたら俺一生ここで暮らすことになりかけた
金「馬鹿者！！一体どれだけの方に迷惑をかけたか分かっているのか！」
雪「わ、分かってるけど…でも私だっていつまでも屋敷の中で姫らしく過ごすのには飽きたの！」
金「なっ…」
さすがのこれには金さんも絶句、これからこの人嫁ぎ先でこれまた姫らしく過ごさなきゃいけないんでしょ？死ぬぞ？
宮「…雪姫」
雪「なっ、何よ」
宮「…こちらは渡辺翔太さんと言い、我々が知る事の無い遠い未来の世界から来たお方です」
翔「っ、あ、どうも」
雪「…それがなに？」
宮「この方は、雪姫が居られぬ間、あなた様の代わりに縁談の相手に会って頂いてたんです」
雪「えっ…男よね？」
宮「えぇそうです、姫様がそのようなわがままさえ申さなければ、翔太さんは今頃、あなた様をここに連れてきてくれたそちらの方と一緒に元の時代に戻れたのです、しなくてもいい女の格好をしてまで縁談相手に会う必要など無かったんです…それは分かりますね？」
雪「…はい」
宮「…近々、相手方から正式に婚礼の申し込みが行われるでしょう」
雪「えっ、ちょっと、なんで勝手に返事してるのよあなた！」
翔「えっ、俺が悪いんですか？俺はあなたやあなたの家族の為に返事をしただけです！…確かにお雪さんの気持ちも確認せずに答えるのはいかがなものかとは思いました…でも、そこで俺が断ったら何のためにこんなことしてたのか分からなくなりそうですよ」
雪「……」
金「…雪よ」
雪「…はい」
金「新吉くんはとても良い子だよ、そこの彼にそっくりでな、以前彼らがここに来て、その後新吉くんがここにやって来たとき、ここに居る奴らがみんなして二人が同一人物だと誤解してしまったくらいにはな、ハハハッ！」
雪「…そうなの？」
翔「えぇ、瓜二つです」
雪「……」
照「…えっ、何ですか？」
雪「…分かったわ、受けるわよ、その縁談」
金「！、本当か！」
雪「だって…もう答えちゃったんでしょ？それに、すでにこれだけ迷惑かけてるのにこれ以上の迷惑はかけられないもの」
お雪さん、最初はちょっと、いやだいぶ我儘なお姫様かと思ってたけど、ホントはこの家のことものすごく大切にしているんだって言うことはひしひしと伝わった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莎々 | 作成日時：2023年3月27日 21時
