Famiglia (ページ36)

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翔「……一つだけ」

照,深,蓮「っ！」

翔「一つだけ、あります……高校三年の途中でした」

渡辺side

その日、授業を受けていたら急に気分が悪くなったんです

でも両親ともにすぐ職場を抜けてこれるような時間でも、そういう職種でもなかったので我慢しないと、と考えました

でも、すぐに限界が来て目眩がして、その場に蹲ってしまったんです

その時の授業担当が、あの人、上松だったんです

あの人は完全に動けなくなった俺を担ぎ上げて保健室に向かいました

加えてそこで養護教諭の方に家族に連絡するよう頼んでました

それを実際に伝えることは出来なかったけど、両親ともに来れないことは分かっていたし、実際どちらからも迎えに行けないと言われてました

するとあの人は

上『じゃあ私が家まで送ります』

そう言ったんです

この後すぐに授業があるわけでもないし、行って帰るくらいの時間なら余裕で持てる

そういって否応なしにあの人が僕を家まで送ることになったんです

家に着いて中に入るってなった時

最初は部屋までついて行こうかと言われたけど、さすがにそこまでは良いと断りました

…今思うと、あの発言はなかなかの気味悪さ、気持ち悪さがあったなって思います

岩本side

翔「強いて言うなら、それくらいです」

深「…いや、十分すぎます」

翔「そう、ですか？」

深「…照、ちょっと」

照「ん？おう、ちょっと待ってて」

翔「うん」

蓮「…翔太くん、今の話マジっすか？」

翔「…うん、そうだけど」

蓮「…その人ヤバすぎだわ」

照「何だよ」

深「お前さ、こないだ俺にいろいろ話してくれたじゃん、この事件の事とか、これが起きるまでの事とか」

照「あぁ」

深「…100パー、黒だぞ」

照「は？」

深「教えたことのない希望の大学を知ってる、いつ翔太くんだけが別の部屋に行くか分からない状況でタイミング良く家に入れたこと

　…これ全て、それのおかげだぞ」

照「何のおかげ？」

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