[短編集]ときめきぎゅっと (ページ8)

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「でね、ガトーショコラもすっごくおいしくて！」
「珍しいね、瞬がそんな風に話するの」
「そう、だね」
「よっぽどいいお店なんだね」
「ながにゃんもいこ！紅茶もいろいろあったよ！」
「ほんと？じゃあさっそく連れてってもらおうかな」
「うん！」

ちゃっかりながにゃんとお茶する約束を取り付ける。
智人がえ～俺も行きたい～って駄々こねてるけどこの人はこの後別のお仕事だから無視。

「今度ね。智人は仕事頑張って」

そうながにゃんに諭されてぶーぶー言いながらもしっかり次の現場に向かうたかぴ。
本当は智人とも出かけたいからlineで空いている日を聞いておこう。

とまぁそんなことはどうでもよくて、ながにゃんとルンルンしながら散歩しつつ目的のカフェへ向かう。

「いらっしゃいませ！」

お店に入るとまた明るい笑顔で出迎えてくれる。
日向が気持ちよさそうな二人席に案内してくれる。

「またいらしてくれて、嬉しいです！」

まっすぐ僕のほうをみて彼女がそう言った。

「え、あ、え、いや･･･」

驚いてどもる僕ににこりと笑顔を向け、ながにゃんの方をみてからぺこりとお辞儀をして、ご注文が決まりましたらお声がけください、と去っていった。

「瞬、覚えられてるじゃん」
「僕まだ一回しか来てないんだけど･･･」
「よかったね」
「う、ん･･･？」

覚えられてると途端に二度と来れなくなってしまう僕だけど、なんというか、普通にうれしいと思ってしまった。

ながにゃんがこれ珍しいやつだ～って言いながらメニューをキラキラした目で眺めるのを見つつ、僕も今日はどうしようかなーと悩む。

「僕これにする。瞬は？」
「あ、カフェオレ」

咄嗟に出たのは安定のカフェオレ。おいしかったし、いいんだけどね･･･。

「せっかくだからスコーンとか食べちゃおうかな」
「僕も、スコーン食べたい」
「ん、じゃあこれとこれ頼んで分ける？」
「うん！」

ながにゃんがすみませんと声をかけて注文してくれる。
相変わらず笑顔が素敵な彼女をぼおっと見ていると、ただいまお持ちいたします、の声のあと、僕の視線に気づいたのか、こちらを向いて微笑んでくれた。

思わず顔を赤くしてしまう僕を、ながにゃんが物珍しそうに見てくる。

「ほんと、珍しいね」
「え？」
「女の人にそんな反応するの」
「そ、そう？」
「さては･･･」

そのあとにながにゃんが口にした二文字は、僕には早い、と思った。