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「そういえば駒田さんは、おいくつですか?」
「僕は今年31になりますね」
「じゃあ私の五つ上ですか」
「あ、そうなんですね」
「全然ため口でいいですよ」
「ほんと?じゃあそうさせてもらおうかな」
「はい、そのほうが話しやすいですし」
彼女が現在26歳であるということも知れたし、話しやすくなったし、今日もいい日だ。
「あと、なんか慣れないので、よければ外ではAって呼んでください」
「Aちゃん?」
「はい。普段あまり苗字で呼ばれることがないんです」
「そっか、うん、いいよ」
「ありがとうございます」
「なんだかうれしいな、仲良くなれて」
どうやら今日もお仕事らしいし、夜もまた会えるんだと思うと余計にうれしくなる。
そのあとも身の上話だったり、趣味だったり、いろんな話をした。
うん、やっぱりかわいい。服装とか、そういうのもあるんだろうけど、まさにお店にいる時とは180度違うって感じ。もちろん、どっちも素敵だけど。
「さっきから思ってたことがあるんですけど」
「ん、なに?」
「駒田さんて口がうまいですよね」
「え、それは褒められてるのかな?」
「一応ほめてます」
「一応・・・」
喜んでいいのか悪いのかわからずに困惑してしまう。
「普通のことしか話してないのに、楽しいって言ってくれるし、その、かわいい、とか普通に言うし・・・」
「え、そう?でも確かに、思ったことなんも考えないで口に出しちゃうかも」
「っそういうところも!」
「あはは、もしかして照れてる?」
「違います」
そういう彼女の耳が少しだけ赤くなってる気がしてまた嬉しくなった。
「帰国子女ってそんな感じなんですかね」
「うーん、そうなのかもしれない」
「やっぱり漫画の住人ですね、駒田さんて」
「え〜、じゃあAちゃんはその漫画のヒロインだね」
「っ!」
頬を染めた彼女を見てさすがに自分の言った言葉の意味を考えた。
他意はなかったけどもしかしてとらえようによってはとってもクサいセリフ?
「ご、ごめん、他意はなかったんだけど」
「まったく、さすが海外育ちの方は言うことが違いますね」
「っは、照れてる、かわいい」
「もう、もう充分です!」
嫌がられてはいないみたいだし、まあいいかな?
「じゃあ、お店でお待ちしてます」
「うん、Aちゃんに会いに行くね」
「・・・待ってます」
この好意に名前がつくまでもう少し。
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作者名:おーかみお | 作成日時:2020年1月19日 18時