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それから数日、たまたま浅沼さんと現場が被ったのでバーにお邪魔したことを話してみる。


「お、気に入ってくれた?」
「はい、なんか居心地がよくて」
「わかる〜。マスターを筆頭に雰囲気緩いしね」



その言葉に思わず彼女を思い浮かべる。




「あ〜、確かに。そうですね」
「見た目だけ見ればかちっとしてるのにね〜。話すと意外とおもしろいんだよね」
「わかります」
「今日夜暇なら飲みにいく?」
「えっ、行きたいです!」




そんなこんなで今日の夜またあのバーへ行くことが決まった。
先輩と飲めるうれしさ、彼女に会えるうれしさ、いろいろ相まってがぜんやる気が出てきた。
午後休だし、早く終わったらショッピングにでも行こうかな。




無事今日のお仕事を終え、ふらりとショッピングモールに向かう。


どこから見て回ろうか・・・。なんてぼーっとしているとふと人にぶつかってしまった。


「あっ」

咄嗟にバランスを崩した女性の腕をつかむ。


「すみません、大丈夫ですか!」
「あっ、はい、すみません」


顔を上げた女性をみて思わずあっと声を出してしまった。



「A、さん・・・?」
「え?あ、駒田さん・・・」


驚きと申し訳なさに動転してしまったが腕をつかんだままでいることにかろうじて気づく。



「ごめんなさい、咄嗟に!」
「いえ、ありがとうございます」
「僕の図体がでかいばかりに・・・」
「・・・確かに」



そういってAさんはふっと笑った。
お店の時より幼く柔らかい印象で、率直にかわいい、と思った。



「っていうか、駒田さんってどこまでも漫画の住人ですね」
「え?」
「こんな出会い方漫画かドラマくらいですよね」
「ははっ、確かに」




ぶつかってしまったし、お詫びに、なんていう免罪符をかかげてお茶にさそった。




「夜まで予定もないですし、ご迷惑でないのなら是非」




その言葉にちょっと浮かれながら手近なカフェに入る。



「今日先輩とまたお邪魔しますね」
「本当ですか?気に入っていただけたのなら幸いです」
「ん〜、もうちょっと軽く話しませんか?」
「軽く、ですか」
「接客というよりは、友達、みたいな感じで」
「・・・頑張ります」
「ふふ、ありがとうございます」




外でお客さんと会うことが今までなかったらしく、どうもぎこちないけど、さっきよりは柔らかくなった気がする。

3→←漫画みたいなー駒田航



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作者名:おーかみお | 作成日時:2020年1月19日 18時

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