恋のカタチ#２ (ページ30)

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＊第78話＊嘘つき。ページ30

私はとっさに商品棚の影に隠れた。

二人は、私がさっき見ていたコーナーで立ち止まって。

「わ、大切な人へだって！」

手越くんが無邪気にそういった。

「え、誰にあげると？」

隣にいた女の子はそう聞き返した。

「決まってんじゃーん」

「あっ！…ふはははははは」

「…え、」

「わかっとーよ(笑)」

「え、知ってたの？」

「ほら、やっぱ好きなんやん」

「…内緒にしてたのにーっ！バレたか。」

「おぼえててくれてたんやね。私の…
何が欲しいかな？」

「どんなのがうれしい？女の子って」

「そーやなぁ。マスコットとかうれしいかも」

「じゃあそーする！」

「ていうか、私に聞いてよかったん？」

「どーせバレるからね！」

そういって笑う手越くんは…

いつもの手越くんなのに。

その笑顔は

まるで別の人を見ているかのようだった。

二人の会話は、スーパーがざわざわしててすべては聞こえなかったけれど

確かに分かったこと。

たぶん…二人は付き合ってるんだ。

私はレジをすることも忘れて、かごをおいてスーパーを出た。

どのくらい走ったのだろうか。

自分の頬が涙で濡れているのを感じて、私は走るのをやめた。

なんで

なんで。

私、手越くんのこと信じてたのに。

あのときからずっと

私のこと思ってくれてるんだって。

でもそれは

ただ私が自惚れてただけだったの？

ただの思い込みだったの？

今までの手越くんの行動も

もちろんあと日の"好き"も

何の意味もなかったんだね。

『何でっ…あの子の誕生日プレゼントなんか…』

こんな醜いことしか言えない自分が嫌いだ。

でも

手越くんの大切な人はあの子なんだ。

私なんかじゃない。

『…嘘つき…』

私のそんな声は

誰にも届くことはなかった。