♢_61__________ ページ12
♢Hikaru
わざと聞こえるように
言ってるなーってすぐ分かった。
康二からAちゃんと目黒が
一緒に映画見てたって聞いた時は
正直気が気じゃなかった。
その日の仕事は
ケアレスミスが目立ったっけ。
Aちゃんへの気持ちに気付いてから
もうしばらく経ってるけど、
Aちゃんの事情もわかってたし、
Aちゃんの幸せを1番に考えたいからって
特にアクションは起こしてない。
次2人で会う時に...って
考えてたんだけど。
蓮「えー、いいじゃん」
「そろそろ怒るよ？」
蓮「自分が誘ったくせに」
「ねぇ、本当にいい加減にして？」
Aちゃんは少し怒ってて、
しかもみんなに聞こえてるからか
少し気まずそうにも見える。
亮「ほらめめ！
そのくらいにしといた方がいいよ？」
Aさん怒ったら怖いよって。
ちょっと気にもなるけど、笑
俺も多分今は不機嫌な顔してるだろうな。
蓮「えー、また見たいなー」
そう言って横目で俺を見たのを見逃さなかった。
見逃せなかった...かな。
照「目黒、そろそろやめろ」
蓮「何で岩本くんが止めるんすかー」
酔ってんのか酔ったフリしてんのか
語尾が伸びる感じがやけにムカつく。
照「Aちゃんはこれから
俺と予定があるから」
俺も自分で言っといて、え？って思ったけど、
Aちゃんもびっくりしてた。
照「Aちゃん行こ」
「え、照くん...？」
俺今どんな顔してんだろ。
お疲れって一方的にみんなに言って、
Aちゃんの腕を引いて適当な道に入った。
「照くん...？」
しばらく歩いたところで、
不安げなAちゃんの声で我に返った。
照「あ、ごめん...痛かったよね？」
「いや...それは大丈夫だけど...」
照「ごめん、本当に...」
次会う時にって決めてたはずなのに、
どうしても我慢できなかった。
軽く事情は聞いてたけど、
飲んでたらたまたま会って
そのまま付き合ってくれたって。
その程度に聞いてたから。
「...こちらこそごめん」
怖い思いさせたかもって
こんなことしたことを後悔した。
「みんな気まずそうだったし
助かった...かな？」
ははってAちゃんは力なく笑ってた。
俺、今どんな顔してんだろう...
「帰ろっか」
照「...飲み直さない？」
「え？」
照「もう少し...一緒にいたい」
せっかく2人になれたしって言ったら、
Aちゃんは黙っちゃって
後悔だけが押し寄せる。
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作者名：のらんせ | 作成日時：2022年8月28日 21時
