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◁◁YOU
照「冷たくなってるじゃん...」
「だって...どうしていいかわかんなくて」
私の頬に触れた照は、
そのまま後ろから抱きついてきた。
照「Aが意地悪するから」
「照だって...してるじゃん」
照「そんなつもりないんだけど」
「私にはそう感じたの」
私が経験が少ないって気づいてるくせに、
どうして困らせるようなことするんだろうって。
照「Aは...俺と付き合いたくない?」
「そんなことないよ」
照「じゃあ...今からAは俺の彼女ね?」
ほっぺに唇が触れて、それがくすぐったかった。
「...うん」
ここまで言われたら、断るなんてできなかった。
私は...照の彼女になった。
照「こっち来て?一緒に寝よう」
「うん...」
照「何で恥ずかしがるの」
「なんとなく...かな」
照に手を引かれて、一緒にベッドに入った。
照「付き合ってくれてありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
照「電気消すよ?」
「うん」
真っ暗になった部屋で2人。
照の腕に抱かれて温かさを感じる。
この日は何もなく、本当にただ寝ただけだった。
あれから1ヶ月の間、
週に何度かお互いの家を行き来してた。
私は郊外に住んでて、照は割と都心寄り。
自然と次の日が早くない日が私の家で、
そうじゃない日は照の家になってた。
私は照と出会ってから、
仕事も順調に増えていった。
あの会議から準備してたシングルが、
ついにリリースされる日が近づいてた。
今までは、誰でも真似できるような
所謂SNSウケを狙ったダンスナンバーを
メインとして戦略を立ててたけど、
社長の後押しもあって
歌詞を重視したものに変わった。
まだシングルしか出したことがない私だけど、
社運を賭けてアルバムの制作にまで踏み切った。
この頃には私は表現するということの
虜になってしまっていた。
自分の感じたことが歌詞となり音に乗って
時には振り付けも加わってひとつの物語になる。
それが世に出た時の幸福感、
評価された時の達成感は
きっと計り知れないものになるんだろうな。
その一心で私も積極的に作品作りに取り組んだ。
スタッフからの評価もガラリと変わった。
今まで自分の意見を言わないどころか
持ってすらいないんだろうと思われていたのに、
細かいところまで意見を聞いてくれるようになった。
それを実現するために、
たくさんの知恵を出し合ってくれた。
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作者名:のらんせ | 作成日時:2022年10月9日 13時