敗 ページ37
カチャ カチャ
……ズズッ グズ、
箸や皿が触れる音と、鼻を啜る音。
応援していただけの私は胸が痛くて、全く箸も進まなかった。
「……象方さん、少しいいですか？」
「！……はい」
みんなの邪魔をしないようにそっと後ろに下がり、そのまま武田先生について外に出た。
カタン、と後ろ手に引戸を閉じると、武田先生は「お疲れ様でした」とにこやかに微笑んだ。
「ＩＨが終わった次の日が最終日だと聞いていますが……」
「はい……明日が最後です」
本当はもう少し早い予定だったが、私がせめてＩＨまでとお願いしたのだから、仕方ない。
明日クラスでも正式な報告があり、明後日の早朝から新幹線で移動する。
だいたいのものはもう引越し業者さんに預けたから、
もうその事実が変わることはないのが、考えたくなくても分かってしまう。
「先日象方さんのご両親から、わざわざ電話でご挨拶を頂きました」
「えっ、なんで.......」
「また必ず烏野に戻らせるのでその時はまたマネージャーとして受け入れてほしいと」
わざわざ顧問の武田先生に電話をしたなんて知らなかった。
それが口約束ではなく本気なのだと分かり、自然と口元が緩んだ。
先生はそんな私を見て微笑み、切り替えるように真摯に私を見つめた。
「……象方さん、昨日今日と貴女の応援は部員たちの背中を押し、士気を高めてくれました」
「いやそんな、大それたものでは.......」
「僕は事実を言ったまでですよ。昨日今日だけでなく、貴女は烏野というチームの中で"当たり前"の存在になっている」
それは大袈裟ではないか。
私なりに頑張っていたことを認めてくれるのは素直に嬉しいし、
いつも外側から見ている先生からのその言葉はとても有難い。
なんで呼び出されたのかイマイチよくわかっていなかったけれど、
もしかして武田先生は、私を元気づけようとしてくれたのかもしれない。
「そ、そうですかね.......！」
「はい。Aさんもひしひしと感じているかもしれませんが、烏野は進化します。
またAさんが戻ってきた時には、またこうやって選手たちを支えてあげてください」
いつものちょっぴりドジでヘタレな武ちゃんではなく、
にこ、と逞しい笑みを浮かべる武田先生。
「はい.......！」
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き(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます、！がんばります！！ (2020年5月10日 1時) (
レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - きさん» これからも頑張ってください！ (2020年5月9日 21時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 愛さん» わ、ほんとですか！むちゃくちゃ嬉しいです！！ どうでしょうか！笑 私にもわかりません… (2020年5月9日 21時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - いつも楽しみにしてます！！！あの、予想ですけど....もしかして稲荷崎のマネになるんですか？ (2020年5月9日 19時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 鏡さん» そう言っていただけると更新の励みになります…！ありがとうございます！がんばります！ (2020年5月7日 22時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きたの | 作成日時：2020年4月5日 10時
