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そして次の日。
ピンポーン と家のチャイムが鳴り、慌ててリュックを背負い、鏡で前髪をチェックして玄関に走る。
と、信子さんがわざわざ玄関まで送り出しにきてくれる。
「Aちゃん、今日も頑張ってな。いってらっしゃい」
「ありがとう信子さん、いってきます」
三年間、ほぼ毎日誰もいない玄関に行ってきますというのが日課になっていたから、送り出されるというのは最初こそ違和感があった。
けれど今はそれにも慣れて、逆にないと不安になってしまう。
「翔ちゃんおはよう」
「おはよーA!」
いつものように挨拶をして、歩き出す。
「いよいよ青城戦だね〜
翔ちゃんレシーブ頑張んないと!」
「Aにたっくさん練習付き合ってもらったからなー!」
「そうそう!練習は裏切らない!絶対前向き!高くあげる!」
「タカクマエムキ!」
そんな感じで喋っていればすぐに学校について、バスに乗って、
「翔ちゃん!約束のやつ!」
「!」
試合3時間前には済ませといた方がいいから、
ここぞとばかりに用意してきたそれを取り出す。
「試合前だから、フォンダンショコラじゃないけど……」
「おおおお!すげー!!」
私が作ってきたのはヨーグルトチーズタルトだ。
試合前にヨーグルトを取るといいことは知っていたのでチョイスした。食べやすいように手のひらサイズに作った。
「A、俺のは」
「あるよ!ツッキー、忠も手作り大丈夫なら……」
反対側に座っていた飛雄にも渡し、せっかくなので後ろの席の二人にも手渡す。
「え?いいの?ありがとう!すごいねツッキー!」
「……ほんとにキミが作ったの?」
「ガチ!結構ガチ!」
昨日のうちにタルト生地だけつくっておいて、朝4時に起きてヨーグルトチーズの部分を作った。
バレーを見ていると自然と目が冴えるから眠気の心配は無用だ。
「ちょっとー、何それうまそうなんだけど。俺の分は〜」
「何なに?」
「Aの手作りお菓子だってさ!一年だけずるいぞ〜!」
斜め前の席から菅原先輩が顔を出し、それに澤村先輩が反応したので
田中先輩と西谷先輩が同時に「手作り?!」と顔を出した。
「み、みなさんの分も作ってきたので……試合前によかったら」
「「うおおおお!!」」
ただのお菓子でこんなに喜んでくれるなら、また作りたいなぁと
そう思う。
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き(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます、!がんばります!! (2020年5月10日 1時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - きさん» これからも頑張ってください! (2020年5月9日 21時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 愛さん» わ、ほんとですか!むちゃくちゃ嬉しいです!! どうでしょうか!笑 私にもわかりません… (2020年5月9日 21時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - いつも楽しみにしてます!!!あの、予想ですけど....もしかして稲荷崎のマネになるんですか? (2020年5月9日 19時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 鏡さん» そう言っていただけると更新の励みになります…!ありがとうございます!がんばります! (2020年5月7日 22時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きたの | 作成日時:2020年4月5日 10時