光 ページ32
「翔ちゃん、ありがとう」
パタン
後ろ手で家をドアを閉め、その後ろ姿に礼を言う。
振り返る翔ちゃんの表情は私よりも悔しそうで、他人事ではないのに苦笑いしてしまう。
「でも、Aがいっちゃうのは変わんない……」
「……分かってた。だから大丈夫。
ちゃんと言えてスッキリした！ほんとにありがとう！」
もう家の話までしているのだ。
住む場所以前の話はとっくに済んでいる。今さら変えられるものではない。
「それに、翔ちゃんのおかげでまた戻ってこれることになったし」
「え"？！ そうなの？！」
「え？」
「え……？」
大きく目を見開く翔ちゃん。
そんな反応をされると私まで不安になってくるのだが。
.
「ーーまだ……烏野にいたい」
「引っ越しを中止することはできない」
パパは眉間に皺を寄せて私達を見下ろしていた。
私としてはその返答は予想通りだった。けれどもすぐに了承できなくて、口を噤む。
「……ごめんな、Aちゃん。うちらで勝手に話進めてもうて…………」
「そんな、信子さんのせいじゃないです。伝えたかっただけなので」
「A……」
おそらく、私はものすごく力の抜けた笑みが浮かんでいたのだと思う。
信子さんは気の毒に思ったのか、「でもなAちゃん」と言いかけた。
が、そこで言葉が止まったのは、
おそらくパパが、信子さんの前に出て、私と目を合わせるようにしゃがみこんだからだろう。
俯いていた私は顔を上げた。
「私は、Aはもう遠慮してしまうようになったのだと少し寂しかったよ。だからそう言ってくれて少し安心してる」
まるであやすような手つきで私の頭を撫でた。
「引っ越しを今からやめることはできないが、
私たちはなるべくAの意見を尊重したいと考えている。まだいつになってしまうかは分からないが……ね」
「え……それって」
パパは信子さんと目を合わせ、くすりと笑って私を見た。
「Aたちの部活引退には必ず間に合わせる。約束しよう。
だから今は、少し我慢をしてくれないか」
.
つまり、また烏野に戻ってこれると、そういうことだった。
「ーーもしかしたらほんとにすぐかもしれないし、三年生の春高前とかになっちゃうかもしれない。
けど、
また絶対……戻ってくるから」
翔ちゃんは言うまでもなく信じてると笑顔で応えてくれた。
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き(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます、！がんばります！！ (2020年5月10日 1時) (
レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - きさん» これからも頑張ってください！ (2020年5月9日 21時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 愛さん» わ、ほんとですか！むちゃくちゃ嬉しいです！！ どうでしょうか！笑 私にもわかりません… (2020年5月9日 21時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - いつも楽しみにしてます！！！あの、予想ですけど....もしかして稲荷崎のマネになるんですか？ (2020年5月9日 19時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 鏡さん» そう言っていただけると更新の励みになります…！ありがとうございます！がんばります！ (2020年5月7日 22時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きたの | 作成日時：2020年4月5日 10時
