陽 ページ31
「ただいま……」
「お邪魔しますっっ!!!」
ぐつぐつ、お鍋の音といいにおいが鼻を掠める。
先週まではまったくなかったこの時間。
翔ちゃんの声に気づいてトタトタと慌てているような足音が聞こえた。
靴を脱いでいると、信子さんがリビングから顔を出して、
すぐにパパも顔を出した。
久々の休みにデートでもしていたのだろう。二人とも少しめかしていた。
そして私の隣でピシッと背筋を伸ばしている翔ちゃんに目を見開く。
「お友達?!言ってくれれば準備したのに……」
「……」
信子さんと対照的に、パパは怪訝そうに目を細める。
パパは、私が中学の三年間一度も家に友達を連れてこなかったのを知っている。
「そうじゃなくて、……その」
「あのっ!!!A引っ越すってほんとですか!」
家中に響きそうな声量で尋ねる翔ちゃん。
そのあとにすぐに「あっ、俺、Aさんの友達で、烏野高校男子バレー部の日向翔陽っていいます!」と律儀に頭を下げた。
戸惑いながらも少し頭を下げる信子さん、パパは変わらずそれを見つめるだけだった。
翔ちゃんは顔を上げて、「で、ほんとなんですか!」と改めて尋ねる。
「……そうだが」
しばらくして短く、そう答えた。
ゴクリと息を呑んだ。
パパが今までにない冷えた目付きをしていたようにみえたからだ。
私は生まれてこの方、ほとんどパパに怒られたことなどなかった。あったかもしれないが、それもまったく記憶にない。
だからこそ、緊張さえ感じてしまう。
「Aを連れてかないでください!
俺!まだAといっしょにバレーしたいです!!」
そんなパパにも全く動じない翔ちゃん。
私のことなのに、こんなに真っ直ぐに伝えてくれて、ぐっと心にくるものがあった。
私の家の話なのに私が後込んでいてどうする。
「パパ、今さらごめん。
でも私……烏野のマネージャーになったの。まだまだ初心者だけど、みんなを支えたい。
まだ……烏野にいたい」
答えはだいたいわかっていた。
せめて聞き分けのいい子でいたかった。そう思っていたのに、口にした瞬間
心の中に溜まっていたなにかが ふわっと消え去ったような気がした。
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き(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます、!がんばります!! (2020年5月10日 1時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - きさん» これからも頑張ってください! (2020年5月9日 21時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 愛さん» わ、ほんとですか!むちゃくちゃ嬉しいです!! どうでしょうか!笑 私にもわかりません… (2020年5月9日 21時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - いつも楽しみにしてます!!!あの、予想ですけど....もしかして稲荷崎のマネになるんですか? (2020年5月9日 19時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 鏡さん» そう言っていただけると更新の励みになります…!ありがとうございます!がんばります! (2020年5月7日 22時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きたの | 作成日時:2020年4月5日 10時