鬼 ページ43
「徹くん」
心を鬼にしなきゃ。
徹くんのためだ。溜まった唾を呑み込んで、まっすぐに目を合わせる。
潤んだ瞳に決意が緩まりかけるが、ダメだダメだ、グッと気持ちを引き締める。
「無理しないで。私が徹くんのこと嫌うことなんてないって分かってるでしょ？」
「でも……分かんないよ」
「分かって」
徹くんは不安げに眉をひそめ、それを誤魔化すように私を抱き寄せた。
が、私は彼の肩に置いた手に力を込め、それができないようにする。
「Aちゃ、」
「そういうのやめて」
腰に回された手から一気に力が抜けて、
ひどく傷ついたように目を見開いて私を見上げた。
その表情に心を鎌で殴られたような痛みを感じる。
徹くんがこうやってしてくれるのは、別に嫌じゃない。けれど、彼女でもないのにくっつかれると、
「勘違い、しちゃうから」
きっと私の顔は今に真っ赤っかになるだろう。顔を逸らし、徹くんの反応から逃げるようにソファから退いた。
「か、彼女じゃあるまいし、友達にさ、こんなことおかしいよっ……ひゃ、」
恥ずかしさを隠すように必死に舌を回していたが、次の瞬間にはまたソファに引き戻された。
そして、逃すまいと後ろから抱きしめられる。
「だから、そういうのやめてってーー！」
「Aちゃん」
恥ずかしさに腕の中で暴れるが、徹くんの真剣な声にピタリと動きを止めた。
ドク、ドク、ドク、ドク
早まる鼓動は私のものだけでないように聞こえた。
少し荒れた熱い息が私の耳にかかる。
「勘違いしてよ」
「え……」
「なんで分かってくんないのさ。俺Aちゃんのことずっと好きだよ、大好きだよ」
一瞬、なに言ってるかわけわかんなくなって、頭がパンクしそうになった。
ドクドクドクドクドク
さっきよりさらに早まった鼓動が、私の頭を混乱させる。
「ねぇ、Aちゃん、俺の彼女になって。そしたらいっぱいくっついてもいいんでしょ」
ぎゅうっっと抱きしめられて、わけわからなくなって、
「徹くん……」
って呼んで顔を上げて、
「……徹くん？」
もう一度呼べど、返事はない。
私を抱きしめながらまた寝てしまったのだった。
それを理解した瞬間、どっと疲れが出た。
「( 今のはきっと熱のせい、頭が回らないせい…… ) 」
……だよ、ね？
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き(プロフ) - 愛さん» ＾＾＾＾＾＾ (2020年2月24日 14時) (
レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 赤梟ってもしかして！！.... (2020年2月24日 13時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - みゆみゆさん» ありがとうございますううう！！こちらからお願いしますはアマゾン不可避です (2020年2月23日 15時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - もちろんです！というかこちらからお願いします！ (2020年2月23日 13時) (レス) id: a635d8fb67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - みゆみゆさん» ほわあああ！！！ ありがとうございます！！か、可愛くなってる……あの、作品内で紹介させていただいてもよろしいでしょうか？ (2020年2月23日 12時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きたの | 作成日時：2020年2月17日 12時
