熱 ページ42
思った通り、徹くんは風邪をひいていたみたいだった。
倒れたときになんとか支えきり、そのまま引きずるようにして家に入れソファに寝かした。その息は荒く、熱を測ってみたら３８.２°あった。
風邪引いてるのに家で安静にせずに私のところにきたの？
一くんなら何か知ってるかもと思いスマホを手に取ったが、時間が時間である。
「( ……寝てるうちにお風呂入ってこよっと )」
.
お風呂から出るとちょうど目が覚めたところだったらしく、のそりと身体を起こしていた。
「徹くん大丈っ……わ」
髪も乾かさないままに駆け寄ると、
無言の徹くんに手を引かれバランスを崩し、そのまま彼の足の間に膝をついた。
私の髪から溢れた滴が私の腕や徹くんの髪を濡らす。
「あの、私まだ髪の毛が……」
そんな私の声は耳にも届かぬようで、
膝立ちしている私の腰に手を回し、半ば強引に力を入れて私を引き寄せる。
元々不安定な座り方になっていた私は体制を崩し、徹くんの肩に手をついた。
思わぬ急接近に突き放そうとしたが、私の肩にぐりぐり熱帯びた顔を押し付けるのでそんなこと到底できなかった。
２０秒、否、きっともっと長い。
静かな空間で、私の早まる心臓の鼓動音だけが互いに聞こえているような気がした。
「……徹くん？」
ゆっくりと顔が離れ、少し潤んだ瞳がこちらに向く。
ドク、ドク、ドク、ドク
昔からの仲とはいえ、今は体格も随分ちがうし、徹くんは高校生の男の子である。
思春期の私にこの状況はただの拷問。
「ごめん」
だが、突然の謝罪に脳が冷静になった。
なに一人でドキドキしてるんだ、と。徹くんは体調が悪いだけじゃないか、と。
「……風邪引いてたの？」
「……頭まわんなくて、Aちゃん返事くれなかったから俺嫌われちゃったってことしか考えれなかったんだ、それで」
「わかった、わかった」
ふわふわな髪を撫でると、徹くんはパァァッと表情を輝かせた。
その笑顔に心がほんわかしてしまう。
でも、これを許しちゃダメだ。風邪引いてるのにわざわざくるなんて、今日はたまたまうちまでたどり着いたけど
これから先また同じことがあって道端で倒れるなんてことがあったら。
彼女とかならまだしも、ただの友達のために。
→
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き(プロフ) - 愛さん» ＾＾＾＾＾＾ (2020年2月24日 14時) (
レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 赤梟ってもしかして！！.... (2020年2月24日 13時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - みゆみゆさん» ありがとうございますううう！！こちらからお願いしますはアマゾン不可避です (2020年2月23日 15時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - もちろんです！というかこちらからお願いします！ (2020年2月23日 13時) (レス) id: a635d8fb67 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - みゆみゆさん» ほわあああ！！！ ありがとうございます！！か、可愛くなってる……あの、作品内で紹介させていただいてもよろしいでしょうか？ (2020年2月23日 12時) (レス) id: b253a946a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きたの | 作成日時：2020年2月17日 12時
