名物ケンカップル【摂津万里】 ページ6
毎朝一緒に登校する約束をしている。
それにもかかわらず、毎朝毎朝遅刻してくるこの馬鹿。
教室に入ってくるなり、怠そうに「すんませーん、遅れましたー」と心のこもってない謝罪。
「摂津君…キミね…「アンタ毎回毎回いい加減にしろよ！」」
先生の咎める声を遮って怒鳴る。
「あぁ？こうして来てんだから別にいーだろ」
「ざっけんな、アンタが明日こそはちゃんと行くって言うから、その度に毎朝アンタの寮まで出向いてやってんだろうが！そろそろいい加減に自分で言ったことくらい実行してくんない？有言実行って言葉知ってる？」
座ってた自分の席から離れ、ズカズカと万里の元へ近づきながら捲し立てる。
そんな様子を周りの人達は「またか…」と呆れたように見ている。
当の本人も、あんまり相手にはしたくねぇな。って顔をしている。
それが何とも腹立たしい。
こっちは今度こそと待っているのに、結局遅れてくるなんて。これが彼女に対する仕打ちなのだとしたら神経疑う。
「だから悪かったって。な？」
「な？じゃねぇよワンレン。切るぞ、その髪を」
飄々とした態度が本当に気に食わない。
怒りが増す。
「分かった。もう良い。私の事なんてどうでもいいんでしょ？私もアンタなんか知らない」
「…は？」
「私、自分で言った約束も守れないような奴嫌いだから。もう二度と私と関わらないで」
我慢の限界と告げると、何故か思いっきりガンを飛ばされる。そんな筋合いはないはずだ。
むしろ怒ってんのはこっちだし。
そう思っていると背中に痛みが走る。と同時に目の前には万里の怒った顔が。
ドアに思いっきり押し付けられたらしい。いわゆる壁ドンと言うやつだ。
「お前俺と別れるってことかよ」
「そう聞こえなかった？ならハッキリ言ってやろうか」
「言ったらぶっ殺す」
出た。気に食わないことがあるとすぐそういう事を言うんだよコイツは。
まぁ、実際手を出されたことはないんだけど。
てか、何で私がキレられてんだよ。
「アンタが怒れる立場じゃないんだけど？そんな物騒なことを言う前に、他に言うべきことがあるんじゃねぇの？ん？」
「……悪かった」
「…はぁ…次はないから」
渋々といった感じだったけど、一応謝罪の言葉だったし許すことにした。
一段落した所で、先生が恐る恐る「あの…」と声を掛けてくる。
完全に忘れていたけど教室だったし授業中だった。
すいませんでした…と席に戻ると授業終了のチャイムが鳴り気まずい雰囲気が漂った。
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作者名：雨宮 魅懸 | 作成日時：2019年8月13日 22時
