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自分という存在 ページ4

Aside








やっと、教授の長ったらしい講談が終わり





筆記用具とレポート用紙をカバンの中に入れて



駆け足で正門へ向かう。







でもそこに神山くんはいなかった。




先に行ったのかな。


そう思って一応スマホを見ると




神山ごめん。ちょっと外せない用事ができた。すぐ追いつくから先行っててくれる?






神山くんからのLINEが一件。




なんかあったのかな。外せない用事なんて曖昧な言葉。



今までにない言い方。



だけど、詮索するのも良くない。

Aわかった。先行ってるね





そう返信して顔を上げると






「おぉ、やっぱりAや!久しぶり



覚えてる?」






懐かしい笑顔でこちらに手を振るお兄さん。




「淳太くん。何年ぶりだろう」





中間「Aと最後に会ったのはAのお母さんの葬式以来やからなぁ。



6年ぶりくらいかな。元気?



ここの大学やったんや」




「うん、元気だよ。」




淳太くんは、私の親戚のお兄さんで



かなり歳が離れている。



昔はおままごとの相手をしてくれたり





自転車の練習を一緒にしてくれたこともあった。






中間「こんなに大きくなって」



「おじさんみたい」



中間「もう30過ぎたからな」




外回り中で、偶然私を見たらしい。


ただ、メイクしてたからかあまり確信が持てなかったらしく。




中間「Aがこうして元気になってくれて俺も嬉しいよ」



「そんなに私元気そうな顔してなかった?」



中間「ハハ、そういうわけちゃうけど



昔のAは、ネガティブやったやん。



人より習得が遅いのを自覚して


自転車も乗りたくないとか言ってたし




人思いすぎるところがあったから。





みかんも人数分なかったら譲っちゃうタイプやったやん。





なんか、今Aをこうしてみると




一人前になった感じがして、嬉しいよおじさん。」







そう言って、淳太くんは私の頭を撫でた。







…私、今でもネガティブだよ。





昔と変わらないんだから。



…昔から。友達なんて多くないし。


私がみかんを率先して食べられるような



そんな大した人間じゃない。





中間「お、じゃあ。そろそろ



会えて嬉しいよ。」

「お仕事頑張ってね」




中間「ありがとう



あ。LINE交換しよ」




私は淳太くんと別れて




急いで大毅くんの家に向かった。

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作者名:きい | 作成日時:2021年3月28日 0時

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