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ナツ「お願い…！」
昨日ぶりに会ったナツは、俺の前で涙をこらえながら訴えてくる。
…もうどうしたらいいのかわからへん。
ナツの言葉は信用できひんし。
かといって、その打撲痕は見ていられないほど痛そう。
神山「何度言われても、俺は彼女がおるから協力できへん。
ただ、俺の友達紹介するから、そいつに頼んでみるよ。
それでええ？」
ううん、照史とか流星あたりに頼んでみようか。
まあ、承諾してくれるとは思えへんけど。
彼氏のフリして、その後ナツのDV彼氏に目をつけられるのは確実やから。
ナツ「どうしても智洋じゃあかんの？」
神山「俺が協力できるやり方で協力したるから、それでええやろ。
なんども言うけど、俺には彼女が」
ナツ「ずるい」
神山「…は？」
ナツの俺を見るその目は、
涙で訴えるのではなく
俺を心から軽蔑しているような目やった。
…なんで？
ナツ「私がこんなに言ってるのに
彼女を理由に、そうやって逃げるんや。」
神山「逃げてるわけちゃうよ。」
ナツ「高校の時もそうやった。」
神山「…は？」
ナツは俺の両肩をわざと押した。
「あれ、ナツ様ちゃう？」
「そうや、ミスグランプリのナツ様やん」
「隣は…彼氏？」
「すげぇチャラいな、彼氏」
「結構これ修羅場？」
周りのガヤが聞こえる。
そんな時でも呑気に考えていた。
ナツって、去年のミスグランプリやったん？
学祭のそういうの興味なさすぎて知らんかった。
そんな周りのガヤを気にせず、ナツは最大級の怒声で俺に叫んでいた。
ナツ「生徒会生徒会って
全然私との時間作ってくれへんかったやん！
しかも、美人生徒会長と仲良くしよって。
副会長って立場を利用して。
会長とよく生徒会室で楽しそうに作業してたもんなぁ？
そんなん、私に呆れられるのもしゃあないと思わんかったん？」
…うわ。そんなんぜんっぜん関係ない人に知られんのめっちゃ恥ずいやんか。
何してるん、ナツ。
やめてくれ。
神山「…ちょ、わかった。
わかったから！ちょ、移動すんで」
昨日謝ってきたのはなんやったんや。
これやから、ホンマにナツは怖い。
結局
俺は、思いもよらない形でナツに協力する羽目になる。
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作者名：きい
| 作成日時：2021年3月28日 0時
