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ある日。事件は起きた。
Aさんと会ってもう3ヶ月が経とうとしていた。
相変わらずメンバーからの連絡はほとんどなく、グループLINEも動かなくなった。
俺以外で新しくグループ作ったんやろうけど、もうなんとも思わなくなった。
一ヶ月に一回メンバーの誰かから連絡が来るのがめちゃめちゃ楽しみになっていた。
こないだは照史やった。
足音が聞こえて目を開けると、Aさんが縁側に座るのが見えた。
時刻はもうすぐ15:00。
まだ日が沈むには時間がある。
楓は揚げなすを作ると言っていたけれど、ナスは家になかった気がする。。
買い物は楓担当やからきっと買ってくれるやろう。
俺は人目を避けて生きている。
それはAさんもサヤカさんも楓も分かってくれている。
見ず知らずの俺とこんなに仲良くしてくれていることに対して本当に嬉しく思うし、
ここの居心地の良さを考えると、本土に戻りたくなかった。
「…Aさん。」
縁側に行き、Aさんの隣に座る。
日々募るAさんに対する想いは、俺の心の中にとどめられているけれど、
Aさんのアンニュイなその儚い表情を見ていると、すごく不安になる。
1人じゃないって言いたくなってしまう。
それは綺麗事ではなく、俺はホンマにAさんのことが好きになっているから。
自分の人生が嫌になって
本土から島に逃げてきた俺の気持ちをわかってくれるのは多分、
Aさんだけ。
Aさんは泣いていた。
「え…Aさん?」
Aさんは俺を見つけて見られたくないようで恥ずかしそうに目を逸らした。
Aさんの涙を見るのは2回目。
前は俺と友達になれたという嬉しさから涙が出たと言っていたけれど。
今回はそうではなさそう。
Aさんを見ると、胸が苦しくなる。
Aさんの抱えている闇を俺の包容力で消し去りたかった。
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作者名:きい | 作成日時:2021年9月8日 22時