[2]小瀧望、無期限の芸能活動休止します (ページ46)

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一ヶ月後の当日。

俺は事前にマネージャーに復帰したいと連絡すると、じゃあ事務所に来いと言われた。

「サヤカさん、半年ほどお世話になりました。」

船の前、俺は行きと同じくらいの軽装でサヤカさんに別れの挨拶をした。

「うん、うん。またいつでも遊びにおいで。

待ってるよ。急に来ても大歓迎。」

「ハハ、ありがとうございました。ホンマに。

…あの、Aさんは？」

「あぁ、うん。どこだろ。

今日がのんすけ本土に戻る日だって伝えたんだけどね。」

朝起きたらAさんはおらんかった。

Aさんの押し入れを開けると、そこにあった絵画はもう全てなくなっていた。

…全部売れたんや。余計に不安になる。神社かな。もしかして明神ににた池かもわからん。

でも、もう船が出港してしまう。

本土に戻る前に、ちゃんと挨拶したかった。

「…まあ、きっとすぐ会えるよ。」

「………ここに来るの、船で24時間っすよ？気軽には来れません。」

「なんでここに来るのさ。

もしかしたら向こうでばったりなんてことも。」

　

　

「………ないっすね。うん。ないない。」

　

　

　

Aさんはきっとここに永住する気や。

　

ホンマに最後になるというのに、俺の想いもちゃんと伝えることなく、

　

Aさんへの恋は儚く終わってしまった。

　

　

気持ちを切り替えよう。

　

　

　

俺は芸能界復帰するんや。