[2]小瀧望、無期限の芸能活動休止します (ページ36)

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俺の誕生日が近くなると、

付近で仕事がない土日があれば大阪に毎年帰って祝ってもらってた。

俺はじいちゃんが大好きやった。

小さい頃からよく一緒に遊んでくれて、

寡黙で厳格やけど

俺に男としての生き様を教えてくれたのはじいちゃん。

芸能界に入ることを決めた時に１番に伝えたのもじいちゃん。

じいちゃんは最初から俺のことを応援してくれていた。

５年前、久しぶりに実家に帰ってじいちゃんに挨拶した時、

じいちゃんは俺のことを見て不思議そうな顔をした。

「どちらさまですか…？」

信じられなかった。

とっさに

「俺やじいちゃん。望。」

そう言うと、あぁ、望か、悪い悪いと笑った。

あとで母親に聞いたらじいちゃんは認知症の始まりって言われた。

だから、１年前に帰った時はもう俺のことを赤の他人と思い込んでいた。

「はじめまして。望です。」

「おぉ、はじめまして。どこから来たん。」

「……東京です。」

「そらわざわざ遠いところからおおきに。」

「実は今日誕生日なんです。」

「えぇ、それはお祝いせなあかんな。

おーい、母さん。日本酒もってこーい。」

そんなこんなで毎年祝ってくれたじいちゃん。

今年は祝う直前に亡くなった。