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「実はね。3年前にあの夫婦は父島に来たんだ。」



「えっ」


衝撃の事実に俺は思わずAさんの方を向いた。



「それで楓を引き取りに来ましたって。


その時サヤカさんがたまたまいて。


楓は学校だった。




私はこんな親に楓を渡したくないって、必死に反対してね。








ご夫婦も自分のしたことを猛省していて、




だからこそこれからは責任を持って自分が育てていきたいって言ったの。













実は楓、3歳下に弟がいるんだ。





その弟がやんちゃで子育てが大変で。





楓の面倒を見ている暇がなくて、それで父島に置いて帰ってしまったんだって。













だからこそ、責任の重さ、事の重大さを思い知ってその3年後にまた来たの。






弟さんを連れてね。」













いつの間にかビールは2本目になっていた。







きっとAさんの中でも3年前の葛藤があったに違いない。










3年前といえば、まだAさんは22歳。

大学生で単純計算しても4年生。







それでもAさんは自分の手で楓を育てる覚悟があった。












「彼らは3年後にまた来ますと言って帰った。





ご夫婦が本土に帰ったときに、サヤカさんに言われたの。




3年は長いようで短いよって。




楓にはそれまでにちゃんと自分が本当の母親じゃないことを伝えなさいって。










言われてた。

















言われてたんだ。
















言われてたのに…。














3年経っても心の準備ができなかった。望くん。」





俺のことを悲しそうに呼ぶAさん。













俺がAさんの方を向くと、








Aさんは涙を目にためて両手で俺の頬を包んだ。


















「私は間違ってた?



















楓のためにと思って自分で育てようと思った6年。

















間違ってた?」

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作者名:きい | 作成日時:2021年9月8日 22時

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