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「もう…なんで…どうして…」




Aさんの涙声を耳にしながら、俺もなんで声をかければいいのか分からず、





洗い終わったものを拭いて棚の中に入れる。








ロースの下味に塩胡椒を振るAさん。









「Aさん、かけすぎや。」



「……。」



「Aさん!」













俺は夢中でAさんの腕を掴んだ。




Aさんはその瞬間、プツンと糸が切れたように泣き出した。




それは声に出さない涙で綺麗に顎まで落ちていく。




俺が親指でそれを拭う。拭っても拭っても収まらない涙。













俺はAさんを居間に誘導させた。













“俺が料理作るから。生姜焼きでええの?”




「…望くんには、この島に来てから迷惑かけっぱなしだね。ごめんね。」





“全然。そもそも迷惑やなんて思ってない。”





「…ありがとう。」










俺は台所に戻った。





Aさんはもっと俺を頼るべきや。









俺が無理なら、サヤカさんにでも。そう思いながら調理する。

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作者名:きい | 作成日時:2021年9月8日 22時

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