心の声を聴きたくて (ページ36)

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重岡「なんかさ、Aがおらんとつまらんねん。

神ちゃんもアオイも、小瀧も思ってるで？」

「…そうかな。」

重岡「当たり前やん。

あのな。Aのその笑った笑顔とか

楽しそうな喋り方とかさ

そういう何気ないAの行動が、みんなを楽しませてるねんで？

　

　

自覚持ちや」

大毅に頭をポンと置かれる。

重岡「それに、俺はちゃんと陸上部にも来て欲しいな。」

大毅が私のベッドに横になる。

重岡「俺は、寝る。」

「え、ここで？」

重岡「ここで。Aはどうしたい？」

　

　

どうしたい。

この状況をとにかく変えたい。

私が招いた惨事だ。

まず、実行委員長に謝りたい。

アオイに謝りたい。

ともくんに謝りたい。

…陸上で、全国大会に出たい。

　

　

　

「走ってくる。」

重岡「おやすみ」

私は大毅の家を出た。

走って走って

　

　

変わりたい。

　

　

変わるんだ、私は。

　

走って走って、走りまくって

風を切る

この瞬間が好きなんだ。

私が陸上を始めた理由を思い出した。

　

　

そうだ、マラソン大会でヘトヘトになって

ゴールテープ切った後の

お母さんとお父さんのお疲れ、よくやった

そう言ってくれた時の顔は今でも、忘れられない。