＊重岡 ページ26
体育祭当日。
重岡「A。そろそろシフトやで。」
実行委員長にお願いして、俺と同じシフトにしてもらい、俺はAを全力でサポートしようとAを呼んだ。
少しずつ前向きになってきたA。
部活も毎日ではないけど、だんだん来るようになった。
それに、1番嬉しいのはタイムが縮んできていること。
Aのオトンが亡くなった後のタイムは過去最低やった。
Aは、周りの環境がとても大事なんやなって痛感する。
「うん、今行く。」
赤い鉢巻を持ちながら神ちゃんにあとでねと声をかけて
Aは俺の方へ。
重岡「鉢巻まかないと。」
「私頭の形が変なのか、なかなかうまく巻けないんだよね。」
重岡「俺がやったるわ。貸してみ。」
Aから鉢巻を受け取り、Aの頭に巻く。
重岡「ほれ。これで多分落ちひん。」
「おー、ありがとう。」
相変わらず、語尾に“っ”はないけど。
明るいAが戻ってきている気がする。
神山「A！」
俺が歩き出した時、神ちゃんがやってきた。
「ん？」
神山「昨日伝え忘れてたんやけど、ビデオ許可証のところが変更点あって…。」
「うんうん」
神ちゃんが紙に書いてある文章を指差しながらAに説明する。
神山「じゃあ、Aは女子の台風の目があるから。
その2種目前に戻ってくるんやで。」
「分かった。ありがとう。」
神ちゃんが去っていく。
神ちゃんはホンマにしっかりしてはるな。
神ちゃんがAに渡したプリントをのぞくと、
いろいろメモ書きがされていた。
自分のプリントを見て、落書きがたくさん書いてあってヘコむ。
「できるかな。」
重岡「俺が隣におるからなんかあったらいつでも聞いて。」
「ありがと。」
俺とAは受付のテントに着いた。
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作者名：きい
| 作成日時：2021年6月5日 16時
