心の声を聴きたくて (ページ15)

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重岡「なんかさ、元気に明るく振舞おうとしてへん？」

神山「A？」

重岡「そう。」

俺のちょっとした敏感な違いは、神ちゃんも気づいていたっぽい。

神山「わかる。語尾が静かになったよな。」

重岡「え、わかる？」

ちょうど俺もそれ言いたかったこと。

神ちゃんがわかってくれたことになんか嬉しくなる。

神山「わかる。Aって語尾にちっちゃい”つ”が入ってる感じの天真爛漫な喋り方やん。

最近はおとなしくなった気がする。」

重岡「そうやねん！！

おはよっ

とかさ

じゃあねっ

とかさ。

なくなったよな？あー、なんかわかってくれる人がおるだけで嬉しいわ。」

神ちゃんは他にも気になるところがあるらしい。

神山「こないだAのお母さんの誕プレ一緒に買いに行ったんやけど。」

重岡「あぁ、エプロン？』

神山「そうそう。」

重岡「渡せたん？」

神山「それがさ。」

俺は神ちゃんから、エプロンを買った帰りの話を聞いた。

心ここに在らずなAのおかんがものすごい血相で家を飛び出して

Aが目の前におるのに全然気づかんくらい焦ってて

Aが呼びかけたらやっと気づいたこと。

タクシーでどっかに行ってしまったこと。

重岡「その誕プレは、神ちゃんがじゃあまだ持ってるってこと？」

神山「いや、返したんやけど」

おかんに渡したら報告するっていう約束をしたのに、

報告がないらしい。

重岡「え？２ヶ月前やろ？

流石に渡したやろ。

神ちゃんに報告するの忘れてるだけやって。」

神山「そうかな。そうやとええけど。」

普通なら、別に気にせえへんことなのかも知れへんけど。

Aのことを知りすぎている俺らからしたら

ちょっとおかしい。

Aは有言実行タイプ。

言ったことは必ず守る。

報告も絶対するような人。

心配そうな顔をする神ちゃんに

重岡「まあ、今度一緒に聞いてみようや。

なんかあったのかもわからんし。

俺もAには部活にきて欲しいからさ。」

神山「まあ、あんまり追い詰めないように聞こうな？」

重岡「わかってる。

自分の感情くらい自分でコントロールできるから。」

きっと俺が熱くなってカッとなってしまうのを恐れているんやと思う。

Aも結構言葉にするタイプやからな。